一目瞭然!画像でみるMRI撮像法

数学いらずで、これならわかる!
難解とされるMRIの基本原理から最新の撮像・画像処理技術までを、数式をほとんど使わず、臨床で用いられている画像、撮像シーケンス図などを交え読影の実際に即して解説する。ハードウェア、画像の基礎原理、基本的な撮像法、より高度な撮像法、アーチファクト対策、画質の向上と項目分けされ、原則見開き2Pで500を超える実際の画像を確認しながら撮像法を理解できる。放射線科医、放射線技師、また、MRIに携わる臨床各科の医師に有用。
¥4,950 税込
原著タイトル
The Physics of Clinical MR Taught Through Images, 3rd Edition
訳:押尾晃一 慶應義塾大学医学部放射線診断科 専任講師 百島祐貴 慶應義塾大学病院予防医療センター 副センター長
ISBN
978-4-89592-804-5
判型/ページ数/図・写真
B5変 頁304 図60・写真525
刊行年月
2015/3/25
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Section 1.ハードウェア
 1 MRIスキャナの構成
 2 MRIの安全性:静磁場
 3 MRIの安全性:傾斜磁場・RF波
 4 RFコイル
 5 マルチチャネルコイル技術:基礎
 6 マルチチャネルコイル―体部
 7 オープンMRI
 8 3 T MRIの磁場の影響
 9 3 T MRIのSN比
10 中磁場(1.5 T),高磁場(3 T),超高磁場MRI(7 T)
11 最新の受信コイル(1)
12 最新の受信コイル(2)
13 最新の多次元RF送信コイル
Section 2.画像の基礎原理
14 イメージングの基礎:k空間,元データ,イメージデータ
15 空間分解能:ピクセルサイズ・ボクセルサイズ
16 イメージングの基礎:SN比
17 イメージングの基礎:CN比
18 SN比とCN比
19 撮像方向
20 マルチスライスとコンカティネーション
21 FOV(撮像視野)
22 長方形FOV
23 マトリックス数:リードアウト方向
24 マトリックス数:位相エンコード方向
25 比吸収率(SAR)
Section 3.基本的な撮像法
26 T1,T2,プロトン密度
27 T1・T2緩和時定数の計算(計算画像)
28 スピンエコー(SE)法
29 高速スピンエコー(FSE)法
30 高速スピンエコー(FSE)法:180度以下の再収束パルス
31 DEFT(強制磁化回復法)
32 位相エンコードのリオーダリング
33 磁化移動
34 HASTE
35 スポイルド・グラジエントエコー
36 リフォーカスド・グラジエントエコー
37 反転回復法(1)
38 反転回復法(2)
39 脂肪抑制併用FLAIR
40 脂肪抑制法:周波数選択的脂肪抑制
41 水励起・脂肪励起
42 脂肪抑制:STIR
43 脂肪抑制:Dixon法(位相差法)
44 エコープラナー(EPI)法
45 3D撮像の基本
46 造影剤:細胞外液分布ガドリニウム製剤
47 造影剤:蛋白結合型ガドリニウム製剤
48 造影剤:ガドリニウム以外の造影剤
Section 4.より高度な撮像法
49 Dual-Echo Steady State(DESS)
50 バランスド・グラジエントエコー法(1)
51 バランスド・グラジエントエコー法(2)
52 PSIF
53 CISS
54 TurboFLASH, FSPGR, TFE
55 3D撮像:MP-RAGE
56 3D撮像:SPACE
57 磁化率強調画像(SWI)
58 マルチショットEPI
59 Volume Interpolated Breah-Hold Examination(VIBE)
60 肝脂肪定量
61 MR胆管膵管撮像(MRCP)
62 軟骨マッピング画像
63 フロー効果:速いフローと遅いフロー
64 フローの位相コントラスト法
65 2D TOF MRA
66 3D TOF MRA
67 3D TOF MRAとフリップ角,TR,MT,静磁場強度
68 位相コントラストMRA
69 新しい非造影MRA
70 造影MRA:基本,腎・腹部動脈領域
71 造影MRA:頸動脈
72 造影MRA:四肢動脈
73 ダイナミックMRA(TWIST, TREAT)
74 灌流MRI:DSC
75 灌流MRI:ASL
76 拡散強調画像(DWI)
77 拡散テンソル画像(DTI)
78 BOLD:基礎
79 BOLD:応用
80 MRスペクトロスコピー:基礎
81 MRスペクトロスコピー:CSI
82 心臓MRI:形態
83 心臓MRI:心機能
84 心臓MRI:心筋灌流
85 心臓MRI:心筋バイアビリティ
86 心臓MRI:T1/T2/T2*マッピング
87 MRマンモグラフィ:ダイナミック造影
88 MRマンモグラフィ:シリコン
89 インターベンショナルMR
90 連続移動テーブル
91 全身MR-PET
Section 5.アーチファクト対策
92 折り返しアーチファクト
93 打ち切りアーチファクト
94 モーションアーチファクト
95 モーションアーチファクトの軽減:トリガー,ゲート,ナビゲータエコー
96 BLADE(PROPELLER)
97 腹部の体動補正
98 画像フィルターによるアーチファクト対策
99 幾何学的歪み
100 化学シフト:バンド幅
101 磁化率アーチファクト
102 磁化率効果の強調
103 金属アーチファクト
104 金属アーチファクトの軽減
105 流速補正(GMN)
106 空間飽和パルス
107 フローアーチファクト
Section 6.画質の向上
108 高性能傾斜磁場:その1
109 高性能傾斜磁場:その2
110 画像合成
111 画像フィルターによるSN比向上
112 平均加算回数
113 スライス厚
114 スライス・プロファイル
115 スライス励起順序(FSE)
116 パーシャルフーリエ法
117 画像補間(ゼロフィル)
118 パラレルイメージング:その1
119 パラレルイメージング:その2
120 圧縮センシング
121 3D画像の後処理
122 自動位置決め画像
123 ワークフローの最適化
124 略語表

 本書はMRIの原理,技術に関する教科書であるが,次のような特長を備えている.
 1) 数式をほとんど使わず,実際の臨床画像を通じて理解することができる.
 2) 随所にシーケンスチャートを示し,ステップ毎に解説している.
 3) 磁気共鳴の基礎原理から,最新の撮像・画像処理技術までカバーしている.
 4) 重要な問題は複数箇所でとりあげ,相互参照により理解を深めている.

 MRIの本質を理解するにあたっては,もちろん数式を使ってその背景にある物理学を理解することが王道であるが,実際の臨床に携わる医師,技師に,そのために必要充分な数学,物理学の知識を持ち合わせている人は少ない.このような場合,原著序文にもある通り,我々はいろいろなパラメータの組み合わせや変化を試し,実際の画像のコントラストを手がかりとして,そのメカニズムを理解しようとするのであるが,またそれで実用上は事足りる場合が多いのも事実である.本書はこのような読者を対象に,MRIの基本原理から最新の技術まで,実際の臨床画像を通じてわかりやすく解説したものである.
 おもな読者対象は,これからMRIの勉強を始めようとする放射線科および臨床各科の研修医,レジデント,放射線技師であるが,既に第一線でMRIの実際に携わっている方々の知識の整理,最新技術の知識習得にも同じく有用である.本書を足掛かりとすれば,興味のある読者は,より専門的な理論書,技術書に容易に進むことができるはずである.
 共訳者の押尾,百島はいずれも放射線科医であるが,押尾は数学,物理学を日常的なツールとして長年にわたって技術開発に携わっているMRI研究者である.百島は一般放射線科医として診療にあたっており,冒頭に述べたように画像を通じてMRIを理解する部類で,まさしく本書が意図する対象読者である.そこで訳出にあたっては,百島がまず翻訳にあたり,技術的側面を押尾が補足した.百島が理解しづらいところはおそらく多くの読者も同様と考え,必要に応じて押尾とともに訳注を補い,Sectionごとにまとめて末尾に示した.
 MRIの撮像技術が,使用する装置に大きく依存するのは,やむを得ない現状である.原著者はシーメンス社装置のユーザであるため,同社の技術への言及が多い傾向がある.しかし,他のメーカーもそれぞれ異なる名称で概ね該当する技術を提供しており,この点については原著でも配慮されているが,必要に応じて訳注を加えた.

 最後になったが,編集部の正路修氏には,企画段階から最終校正までたいへんお世話になった.原書は一見すると必ずしもスマートとは言えない体裁なのだが,翻訳書がたいへん読みやすく仕上がったのはひとえに正路氏の優れた編集力の賜である.あらためてここに深甚の謝意を表するものである.

本書がMRIに関心をもつ読者のよき手引きとなることを願っている.

2015年3月
訳者を代表して 百島祐貴

2020-10-01

【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。

67ページの下から8〜9行目
(誤) 受信周波数バンド幅を狭くして
(正) 受信周波数バンド幅を広くして

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