1. 神経発達症群/神経発達障害群 知的能力障害群:●知的能力障害 ●全般的発達遅延
コミュニケーション症/障害群:●言語症 ●語音症 ●小児期発症流暢症
社会的(語用論的)コミュニケーション症/障害:●社会的(語用論的)コミュニケーション症
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害:●自閉スペクトラム症
注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害:●注意欠如・多動症
限局性学習症/障害:●限局性学習症
運動症/障害群:●発達性協調運動症 ●常同運動症
チック症/障害群:●トゥレット症 ●持続性(慢性)運動または音声チック症 ●暫定的チック症
2. 統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群
●統合失調型パーソナリティ障害 ●妄想性障害 ●短期精神病性障害 ●統合失調様障害 ●統合失調症 ●統合失調感情障害
緊張病:●他の精神疾患に関連する緊張病(緊張病の特定用語)
3. 双極性障害および関連障害群
●双極I型障害 ●双極II型障害 ●気分循環性障害
4. 抑うつ障害群
●重篤気分調節症 ●うつ病 ●重篤気分調節症 ●持続性抑うつ障害(気分変調症) ●月経前不快気分障害
5. 不安症/障害群
●分離不安症 ●選択的緘黙 ●分離不安症 ●限局性恐怖症 ●分離不安症 ●社交不安症 ●パニック症 ●広場恐怖症 ●全般不安症
6. 強迫症/強迫性障害および関連症/関連障害
●強迫症 ●醜形恐怖症 ●ためこみ症 ●抜毛症 ●皮膚むしり症
7. トラウマとストレスに関する障害群
●反応性アタッチメント障害 ●強迫症 脱抑制型対人交流障害 ●心的外傷後ストレス障害 ●急性ストレス障害 ●適応障害
8. 解離症/障害群
●解離性同一性症 ●解離性健忘 ●離人感・現実感消失症
9. 身体症状症および関連症群
●身体症状障害 ●病気不安症 ●変換症 ●他の医学的疾患に影響する心理的要因 ● 作為症 ●他者に負わせる作為症
10. 食行動障害および摂食障害群
●異食症 ●反芻症 ●回避・制限性食物摂取症 ●神経性やせ症 ●神経性過食症 ●過食性障害
11. 排泄症群
●遺尿症 ●遺糞症
12. 睡眠・覚醒障害群
●不眠障害 ●過眠障害 ●ナルコレプシー
呼吸関連睡眠障害群:●閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸 ●中枢性睡眠時無呼吸 ●睡眠関連低換気 ●概日リズム睡眠-覚醒障害群
睡眠時随伴症群:●ノンレム睡眠からの覚醒障害 ●悪夢障害 ●レム睡眠行動障害 ●レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)
13. 性機能障害群
●射精遅延 ●勃起障害 ●女性のオルガズム障害 ●女性の性的関心・興奮障害 ●性器-骨盤痛・挿入障害 ●男性の性欲低下障害 ●早漏
14. 性別違和
●性別違和
15. 秩序破壊的・行動制御・素行症群
●反抗挑発症 ●間欠爆発症 ●素行症 ●反社会性パーソナリティ障害 ●放火症 ●窃盗症
16. 物質関連障害および嗜癖性障害群
物質関連障害群:●アルコール離脱,鎮静薬・睡眠薬・抗不安薬離脱 ●タバコ離脱 ●精神刺激薬離脱
非物質関連障害群:●ギャンブル障害
17. パラフィリア障害群
●窃盗障害 ●露出障害 ●窃触障害 ●性的マゾヒズム障害 ●性的サディズム障害 ●小児性愛障害 ●フェティシズム障害 ●服装倒錯障害
18. 神経認知障害軍
●せん妄 ●認知症 ●軽度認知機能障害
19. パーソナリティ障害群
パーソナリティ障害群:●猜疑性パーソナリティ障害 ●シゾイドパーソナリティ障害 ●統合失調型パーソナリティ障害 ●反社会性パーソナリティ障害 ●演技性パーソナリティ障害 ●自己愛性パーソナリティ障害 ●境界性パーソナリティ障害 ●回避性パーソナリティ障害 ●依存性パーソナリティ障害 ●強迫性パーソナリティ障害
付録
●非定型抗精神病薬 ●DIEPSS(約言性錐体外路症状評価尺度) ●チトクロームP450 ●双極スペクトラム障害 ●うつ病の薬物治療の三期 ●新規型抗うつ薬 ●新規型抗うつ薬の半減期 ●気分安定薬 ●ウェルニッケ・コルサコフ症候群 ●脳波 ●睡眠時間 ●ベンゾジアゼピン受容体 ●抗認知症薬
DSM診断が誕生した背景やDSM-5の特徴や、そもそも操作的診断がもたらしたものなど、語りたいことは山ほどありますが、本書の目的ではありません。学術的なことも思想的なことも全て切り捨て「簡潔明瞭」に徹してDSM-5の内容を提供いたします。
精神科医にとり、DSM-5はポケットに入れておくものでも、タブレット端末に入れておくものでもありません。頭に入れておくべきものです。診断基準を頭にいれておかなければ、十分な診断は困難。患者を診察した後で診断基準の本を手に取り、確認しそびれていた情報があったことに戸惑った経験があったはず。診断基準を頭に入れておくことで初めて円滑に十分で確実な診察ができ、それは皆様の医療に、そして患者に貢献することになるでしょう。
医師以外が直接診断をくだすことはありません。しかし、精神医療に関わる医療者が診断基準を頭に入れれば、その障害に対する理解がより深まることでしょう。そして、「自分に見えるものは、自分が知るものだけだ」とゲーテが語ったように、患者を前にしたとき診断基準を頭に入れていてこそ見えてくるものは沢山あることでしょう。
この薄い一冊の本を通して、多くの悩める患者たちに皆さんがより良い医療を提供するだろうことを心から願っております。
なお、本書は詳しさや正確さを犠牲にして、覚えやすさを追い求めています。必ず、『DSM-5』そのものを確認してください
2015年3月
松崎 朝樹