診察・診断
1 心拍数と予後
2 左房サイズからわかること
3 下大静脈径から何がわかるか?
4 LVEDPと肺動脈楔入圧(PCWP)および左房圧は等しいか?
5 心エコーで肺動脈圧を推定するにはどうするか?
6 慢性肺高血圧症の心電図と肺動脈圧
7 脈波検査(ABI/PWV)は何を見ているのか?
8 足が腫れてきたときの鑑別
9 低蛋白でなぜむくむのか?
虚血性心疾患
10 冠動脈疾患の狭窄度とは? 解剖学的? 機能的?
11 負荷試験で何がわかるか?
12 動脈硬化の現代的な考え方
13 急性冠症候群で何が起きているか?
14 急性冠症候群になぜ抗血小板薬をすぐ投与するのか?
15 異型狭心症の人種差
16 異型狭心症でも冠動脈造影をするのか?
17 冠攣縮性狭心症の予後は?
18 PCIはどこをどうするのか?
19 ステントの歴史
20 PCIよりもCABGを勧めるのはどういうときか?
21 陳旧性心筋梗塞の安定期に硝酸薬を続けるのは得か損か?
22 虚血性心疾患の慢性期に欠かせない薬剤
23 心筋梗塞慢性期に運動すると寿命が延びるか?
24 少しのお酒は心血管系疾患のリスクを下げるというのは本当か?
25 高尿酸血症は動脈硬化性疾患の危険因子か?
26 高尿酸血症治療薬の使い方
心不全
27 筋小胞体の仕事は何か?
28 カルシウム過負荷とはどういう状態か?
29 拡張のことがなぜ注目されるのか?
30 HFpEF,HFrEFとは何か?
31 血管不全とは?
32 Stevenson/Nohriaの分類は何の役に立つか?
33 クリニカルシナリオ―急性心不全患者の血圧は何を意味する?
34 心タンポナーデを察知するには?
35 心不全で使うべき薬剤
36 ドパミンとドブタミンの差は何か?
37 高度の低血圧にノルアドレナリンを使うのはなぜか?
38 ジギタリスの立場はどうなっているのか?
39 心不全を呼吸管理すると何が得か?
40 心拍数を下げるだけでも心不全の予後は良くなるか?
41 心不全のβ遮断薬治療は誰が始めたか?
42 心不全にβ遮断薬を無難に投与するには?
43 メインテートをCOPDに使ってよいか?
44 レニン-アンジオテンシン系抑制薬とβ遮断薬はどのくらい突然死を減らすか?
45 アルドステロンの新しい考え方
46 スピロノラクトンはいつ復活したか?
47 hANPを使うとき
48 心不全でのアミオダロンとICDの比較
49 大動脈内バルーンパンピングは,いつ,誰に,なぜ使うのか?
50 PCPSとはどんなものか?
51 心臓再同期療法とはどういうものか?
心筋・心膜疾患,弁膜症
52 肥大型心筋症と高血圧の肥大は見た目のどこが違うか?
53 心尖部肥大型心筋症の心電図
54 典型的なたこつぼ型心筋症とは?
55 不整脈原性右室心筋症はどういう病気か?
56 心サルコイドーシスはどういう問題を起こすか?
57 感染性心内膜炎は誰に起きやすいか?
58 感染性心内膜炎診断の鍵は何か?
59 心房中隔欠損症はなぜ早めに手術したいか?
60 僧帽弁閉鎖不全はいつ手術を勧めるか?
61 大動脈弁狭窄はいつ危険になるのか?
62 大動脈二尖弁では何がまずいか?
不整脈
63 高度の洞徐脈が危険かどうかどうやって評価する?
64 後脱分極とは?
65 神経調節性失神とは何か?
66 植込み型ループ式心電計とは何か?
67 低カリウム血症も高カリウム血症も危ない理由
68 高カリウム血症のときにQRS幅が拡大する理由
69 房室ブロックの基本
70 右脚ブロックと左脚ブロック
71 二束ブロックと三束ブロック
72 AVNRTとAVRT
73 発作性上室頻拍はどうやって停止させるか?
74 AVNRTのカテーテルアブレーション
75 無症候の顕性WPW症候群は放置してよいか?
76 WPW症候群のカテーテルアブレーション
77 普通の心房粗動とは?
78 心房粗動とカテーテルアブレーション
79 初診の心房細動で行うこと
80 頻脈性心房細動への対応
81 発作性心房細動でなぜ尿意が生じるか?
82 発作性心房細動でも抗凝固薬は必要か?
83 AFFIRM試験をどう読むか?
84 RACE IIでわかったこと
85 心房細動のカテーテルアブレーションはどう行われるか?
86 心房細動のカテーテルアブレーションで脳梗塞が減るか?
87 特発性心室頻拍の心電図
88 ベラパミル感受性心室頻拍はなぜベラパミルに感受性があるか?
89 心筋梗塞後の心室頻拍はどうして生じるのか?
90 CAST試験でわかったこと
91 Torsade de pointesとは何か?
92 先天性QT延長症候群の心電図
93 専門医に送るBrugada症候群,送らないBrugada型心電図
94 抗不整脈薬を使うリスク
95 DDDとVVIはどこが違うか?
96 恒久型ペースメーカーはどうやって植込むか?
97 誰にICDを植込むのか?
高血圧・血管疾患
98 食塩感受性高血圧とは? 患者はどのくらいいるのか?
99 治療抵抗性高血圧に出会ったとき,すぐに行うこと
100 慢性腎臓病症例の高血圧はどう治療するか?
101 腎不全でなぜ貧血になるのか?
102 ALLHAT試験でわかったこと
103 血圧と心房細動の関係?
104 急性肺塞栓症で行うこと
105 Dダイマーの使い方
106 深部静脈血栓症を疑ったら
107 Blue toe syndromeとは何か?
108 閉塞性動脈硬化症はどう診断するか?
109 閉塞性動脈硬化症にはどの薬を使うのか?
110 急性大動脈解離を疑うとき
薬 物
111 ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬は血管を開くのに,なぜ心筋には作用が乏しいのか?
112 スタチンの副作用はどのくらいの頻度で起きるか?
113 ループ利尿薬はなぜ効くのか?
114 サイアザイド系利尿薬は副作用が多いか?
115 水利尿薬トルバプタンの取り柄は何か?
116 ヘパリンはどうやって抗凝固作用を発揮するか?
117 HITとは何か?
118 いろいろな抗血小板薬はどこが違う?
119 NSAIDsでなぜ胃潰瘍になるのか?
120 CHA2DS2-VAScスコアとは何か?
121 CHA2DS2-VAScスコアにはないが血栓塞栓症のリスクになるもの
122 ワルファリンはどういう薬か? なぜPT-INRを測るのか?
123 中途半端なワルファリンが不都合なのはなぜか?
124 新しい抗凝固薬は何をしているのか?
125 なぜ新しい経口抗凝固薬で脳出血が少ないか?
126 新しい抗凝固薬を人工弁患者に使えるか?
索 引
はじめに
この本の目的は「循環器の基本的知識を得ること」。
「まだ専門家ではない」けれど「循環器をマスターしたい」方が対象です。
目的に沿うように……
● 臨床に不要なことは扱わず,
● 各項目を2ページというコンパクトな量にしました。
どこに書いてあるのかは知りませんが,ゲーテの至言として「今日は忙しいので,短い手紙は書けなかった」というのがあります。
● 文献を羅列し,人の言葉を借りて,冗長な話をするのは簡単,
● 情報を煮詰めて,自分の意見を込めて、短い言葉にするのは難しい。
「短く語る」ことにエネルギーを費やしました。
この本のメリットは……
● 読み終わることができる
● 全体像がわかる
ということ。
「簡単に読めた」なら,その意図を達成できたと思います。
「いくつか記憶に残った」なら,大きな目的が果たされたと思います。知っているところは飛ばして,「新しい知識」になるところを見つけてください。
執筆の先生方には力を込めて書いていただきました。
面白く読んでいただければ幸いです。
編者