総論
第1章 MRIによる正常解剖
第2章 筋肉の起始・停止・支配神経
第3章 各種画像の撮像法
各論
第4章 股関節疾患:大腿骨頭疾患
第5章 股関節疾患:関節症
第6章 股関節疾患:感染症,膠原病,代謝性疾患など
第7章 股関節疾患:小児疾患
第8章 股関節周囲・骨盤疾患
第9章 骨折,骨折類似疾患
第10章 腫瘍,腫瘍類似疾患:骨
第11章 腫瘍,腫瘍類似疾患:軟部組織疾患,その他
MRIの出現,普及に伴い,骨軟部領域の画像診断は飛躍的に向上した.高侵襲である関節造影や脊髄造影の多くはMRIにとって替わられ,これらの検査の適応は減少した.それとともに,放射線科医は日常診療において骨軟部領域の画像診断の占める割合が激増し,この領域を避けて通れなくなった.
本邦では,骨軟部領域の画像診断に関する多くの成書が出版されている.総括的な成書から,脊椎,肩関節,膝関節,足関節などの各部位における専門書まであり,日常臨床において頻繁に活用されている.しかし,股関節においては,成書のなかで項目のひとつとして記載されるのみで,特化した専門書はない.一方,股関節の鏡視下手術は増加傾向にあり,術前に股関節のより詳細な画像診断が必要になってきたとよく耳にする.これらを背景に,股関節中心の画像診断の専門書である本書の執筆に踏み切った.本書では総論と各論に大別し,3章よりなる総論では「MRIによる正常解剖(1章)」に始まり,「筋肉の起始・停止・支配神経(2章)」,「各種画像の撮像法(3章)」について述べ,各種画像の撮像法は“股関節の撮像法”と“腫瘍,腫瘍類似疾患の撮像法”に分けて解説している.
各論では頻度の高い疾患から比較的まれだが重要な疾患まで選択し,臨床的事項,画像所見,治療・予後について解説し,必要に応じて病期分類や診断基準も記載している.さらに,本文の重要なポイントは「BOX」で,重要事項の追加は「NOTE」としてまとめている.ただし,治療に関しては,私自身が実際に行っているわけではないので,僭越ながら画像診断をするうえで知っておきたい範疇で述べるに留めた.
本書が放射線科医だけでなく,放射線技師,研修医,医学生,整形外科医など,初学者から骨軟部領域を専門とする方々まで役立てていただければ幸いである.
最後に,本書を作成するにあたり,貴重なご意見をいただいた長崎大学大学院医歯薬学総合研究科整形外科学尾﨑誠教授と千葉恒先生,症例を提供してくださった東京慈恵会医科大学放射線医学講座福田国彦名誉教授,長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線診断治療学上谷雅孝教授,佐世保共済病院放射線科野々下政昭先生,編集作業をしていただいたメディカル・サイエンス・インターナショナルの後藤亮弘氏に深く御礼申し上げる.
2017年8月
川原康弘
2018-10-10
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
168ページの下から4行目
(誤) gluteal trochanteric pain syndrome
(正) greater trochanteric pain syndrome
2018-08-03
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
59ページの下から4〜5行目(治療・予後の解説)
(誤)rapidly destructive coxarthrosis/arthropathy
(正)rapidly destructive coxarthrosis/coxarthropathy
2017-12-11
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
51ページ BOX 4.2の上から7行目(ダイナミック造影MRIの解説)
(誤)C型:発生頻度が低い
(正)C型:発生頻度が高い
172ページ 8.3タイトルの欧文
(誤) gluteal trochanteric pain syndrome
(正) greater trochanteric pain syndrome