Hospitalist(ホスピタリスト)2018年3号 - 患者全体を見すえた内科診療のスタンダードを創る -

特集:肝胆膵
クロノロジスト宣言:
肝胆膵の臨床マネジメントにおいては「クロノロジー(時間軸)」が最も重要である!


本特集は,2014年刊行の「消化管疾患」特集で取り組んだ「問診と身体診察から鑑別診断を考え絞り込んでいく内科的アプローチにのっとった消化器病学」を,肝胆膵疾患でも試みるものです。



肝臓は「沈黙の臓器」といわれるとおり,黄疸を除けば,臓器特異的な症状に乏しい臓器です。胆道,膵臓疾患でも,主要症候である腹痛の鑑別が多岐にわたることに異論はありません。まず,肝胆膵疾患であるか,またどのような肝胆膵疾患であるかを考え,さらに病態を切り分けていくうえで,肝酵素,膵酵素,腹水検査を含めた検体検査,各種モダリティによる画像検査が重要な役割をもってくることもまた真実です。



「時間軸を意識したアプローチ」で,肝胆膵疾患の病態生理と時系列を意識することにより,個々の患者から得られた,症候のみならず検査結果も含めた診断の手がかりを,「あり/なし」だけではなく「濃淡のある」データとして包括的にとらえ,有機的に診断に結びつけていくことができます。「クロノロジスト」に,我々は,疾患や病態の経過の部分,すなわち経時的な観点を重視し,臨床病態や診断治療アプローチをとらえなおせる存在という意味を付与し,今回は特集全体の縦糸として「クロノロジー(時間軸)」に注目しました。





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『Hospitalist Vol.6 No.3 2018』電子版



¥5,060 税込
責任編集: 山口 裕 沖縄県立中部病院 救急科 篠浦 丞 国際医療福祉大学 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部 医療マネジメント学科 石山 貴章 新潟大学地域医療教育センター/魚沼基幹病院 総合診療科嘱託医
ISBN
978-4-89592-955-4
刊行年月
2018/10/26
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はじめに|特異的な症候の乏しい肝胆膵疾患にホスピタリストはどうアプローチすべきか?
  山口 裕 沖縄県立中部病院 救急科

総論
1. 肝胆膵疾患のフレームワーク:クロノロジスト宣言:時間軸の観点から疾患の臨床段階を意識する
  篠浦 丞 国際医療福祉大学 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部 医療マネジメント学科
2. クロノロジーを意識した身体所見のとり方:肝胆膵疾患での「アート」を磨くために
  篠浦 丞
3. 血液検査結果のクロノロジカルな解釈:基本肝胆検査,特に肝酵素異常について
  篠浦 丞
  山口 裕
[コラム①] 肝臓病理医の立場から見る肝疾患診療:臨床医も押さえておきたい病理所見と診断におけるポイント
  中沼 安二 福井県済生会病院 病理診断科
4. 腹水とその合併症,体液貯留のマネジメント:腹水検査・治療の実際と,特発性細菌性腹膜炎(SBP),特発性細菌性胸膜炎(SBEM)
  森 英輝 沖縄県立中部病院 消化器内科
5. 黄疸の鑑別:問診と診察,検査所見をふまえた鑑別疾患の要点
  千嶋 さやか 栃木県立がんセンター 腫瘍内科
[コラム②] 肝機能異常をきたす重篤な疾患,見逃せない疾患:特に黄疸を特徴とする疾患を中心に
  千嶋 さやか
  山田 航希 沖縄県立中部病院 消化器内科
  篠浦 丞
[コラム③] 肝胆膵のCT:ダイナミックCTと“incidentaloma”への理解を深める
  山口 裕
[コラム④] 胆膵系の機能疾患:Rome診断基準に基づく診断と治療
  上村 真也・岩下 拓司・清水 雅仁 岐阜大学医学部附属病院 第一内科(消化器内科)

各論
6. 精査すべき,治療すべき慢性肝障害:自己免疫性肝炎(AIH)の診断・治療・フォローアップを中心に
  中村 弘 沖縄県立中部病院 消化器内科
[コラム⑤] 急性肝不全/劇症肝炎:定義と成因,日本における治療の実際
  山田 航希
[コラム⑥] 急性肝不全の原因となるウイルス:注意すべき病歴と診断を中心に
  山田 航希
  篠浦 丞
7. 肝硬変の合併症①:食道・胃静脈瘤:ジェネラリストが日常診療で直面する疑問を解き明かす
  山田 徹 東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科/消化器内科
8. 肝硬変の合併症②:肝性脳症と栄養マネジメント:丁寧な診断と細やかな治療で患者のバランスを崩さないように保つ
  宮垣 亜紀 東京ベイ・浦安市川医療センター 消化器内科
[コラム⑦] 肝腎症候群(HRS)と肝肺症候群(HPS):肝硬変が他臓器に与える影響を病態生理としてひもとく
  高崎 哲郎 東京ベイ・浦安市川医療センター 消化器内科
9. 胆道感染症:Tokyo Guidelinesの重症度分類に基づく急性胆管炎,急性胆炎のマネジメント
  森 英輝
10. 急性膵炎:エビデンスの確立したマネジメントを「取りこぼしなく」かつ「遅滞なく」行っていく
  加藤 新 北海道大学病院 消化器内科
[コラム⑧] 膵癌をいかに疑うか:着目すべき臨床所見から早期診断プロジェクトの最前線まで
  南 智之・花田 敬士 広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 消化器内科

【連載】
セミナーフリーク西村の突撃!となりの勉強会
  第3回|救急集中治療の心エコーにおけるドップラー活用法セミナー,医療4.0 FES in Chiba
   西村 義人 岡山大学病院 総合内科
JHospitalist Network
第8回JHNセミナー開催報告:
~JHN/Hospitalistタイアップ企画第1弾~
  1日でわかる!内科医のための術前評価:周術期にもジェネラリズムが必要!
   平岡 栄治 東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科
   鈴木 智晴 順天堂大学医学部附属順天堂医院 総合診療科
   石川 大平 長崎県上五島病院 整形外科
Clinician Update
   官澤 洋平・石丸 直人 愛仁会明石医療センター 総合内科

2018-11-05

【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。

572ページ 表1 左から3列目の見出し
(誤) 次の臨床段階
(正) 次の臨床段階,その他の注意点

575ページ 図2 解説文
(誤) 腹側と比較して背側のほうがより頭側に位置する。
(正) 腹側と比較して背側のほうがやや頭側に位置する印象となる

580ページ
左段上から11行目
(誤) Bil(D/T)1.6/3.2 mg/dL
(正) Bil(D/T)0.6/1.6 mg/dL

左段上から19行目
(誤) ここでは…を認めている。このような場合,体質性黄疸はまれなことではない。
(正) ここでは…を認めているが,もしここでALT,ASTの上昇がなければ,体質性黄疸も鑑別に挙がる。

583ページ 左段上から7行目
(誤) 肝臓自体も再生困難なレベルまで破壊されてしまった
(正) 肝臓自体も肝不全となるレベルまで破壊されてしまった

584ページ 右段下から6行目
(誤) 年齢とともに「差し引き」するような形で
(正) 年齢「差し引き」するような形で

587ページ 左段下から3行目
(誤) 虚血性肝炎発症後24時間で,最高値がASTからALTに代わること
(正) 虚血性肝炎発症後24時間で,初めてALTがピークとなり,発症後48時間でASTがALTを上回ること

602ページ 中央段上から11行目
(誤) 胆管を伴わない動脈がみられなければ
(正) 胆管を伴わない動脈がみられれば

654〜658ページ
(誤) Roma
(正) Rome

702ページ Editor’s Addendum 左段上から12行目
(誤) 放射線科と相談してTIPS(経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術)を
(正) 放射線科と相談してB-RTO(バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術)やTIPS(経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術)を

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