第11版 1987年・E. Braunwald
第12 版の編集主幹にはWilson が選出され,彼は早速,計画に着手した。さらに,電子出版についての興味深い議論もあって,この新しいアプローチを利用して医学情報を提供したり受け取ったりする方法のデモンストレーションも行われた。
編者が交代し(Petersdorf が敬愛の念を込めて「ご先祖様」と呼ぶ初代の編者たちが引退し,Fauci とRoot という新しい編者が加入し,医学だけでなくあらゆる分野にわたって頼りになる,良識と知恵にあふれたPetersdorf が,編者として最後の仕事にとりかかろうとしている),ハンドブックが計画され,そう遠くない未来に電子出版の時代がくるという認識が生じ,そして間もなく「この本(The Book)」の累計販売部数が100 万部を超えようとしている今,私は,『ハリソン内科学』の1 つの時代が終わって,新しい時代がはじまろうとしていることをひしひしと感じている。
『ハリソン内科学』が世界の医学にとっても自分自身にとっても非常に特別な存在だと考えている点では,かつての編集チームも1980 年代のわれわれも同じである。編集チームにとって,『ハリソン内科学』以上に大切なものはなく,この本のために自分自身やお互い,さらには執筆者,校閲者,出版社に要求する水準は非常に高く,その作業は「普通の本」の作業とは比べものにならないほど大変である。編者は,この本のためにみずから全力を尽くし,プロジェクトに関わる他の人々にも同じことを要求している。
われわれは今,『ハリソン内科学』が最高の医学テキストであり続けるためにはどうすればよいかを考えなければならない時期に来ている。今日の学究生活は,「ご先祖様」たちの時代に比べて異常なほど厳しいものになり,いたるところで競争が繰り広げられている。それでもなお,編者と出版者は『ハリソン内科学』に特別な地位を与え続ける努力をしなければならないのだ。
- 第1版 1950年・T.R. Harrison
- 第2版 1954年・T.R. Harrison
- 第3版 1958年・T.R. Harrison
- 第4版 1962年・M.M. Wintrobe
- 第5版 1966年・M.M. Wintrobe
- 第6版 1970年・M.M. Wintrobe
- 第7版 1974年・M.M. Wintrobe
- 第8版 1977年・G.W. Thorn
- 第9版 1980年・K.J. Isselbacher
- 第10版 1983年・R.G. Petersdorf
- 第11版 1987年・E. Braunwald