血栓症の治療や予防方法は近年大いに発展し,新規治療薬も相次いで発売された。これらの新薬は,実地臨床での使用例が増えるにつれて問題点も明らかになり,逆に,長らく使用されてきた薬剤の優れた点も見直されてきている。本書は血栓形成の生理と病態を難解な分子レベルの基礎メカニズムから整理し、多様な病態に対して臨床に応用できる知識として理解を促す。血栓症治療薬の作用機序と使用方法,使用上の問題点も記載。理論とエビデンスに基づき「血栓症治療」に貢献する一冊。
はじめに
Part 1 血栓と血栓症
1. 凝固系の役割とは? 防衛反応?
2. 血栓症はなぜ起こるのだろう?
3. 凝固・線溶系の概略
Part 2 凝固・線溶系,血小板の基礎を理解する
1. 凝固系の活性化機構
2. 凝固因子は必要な部位でのみ活性化される
3. 凝固系はどのように活性化されるのか?
4. 血栓形成過程:フィブリノーゲンとフィブリン
5. 凝固系の制御機構
6. 凝固系検査で何がわかる?
7. 血小板の活性化機構とその制御
8. 血栓(線維素)溶解機構とその制御
9. 凝固・線溶系の多彩な生理作用
Part 3 凝固・線溶系と疾患:臨床とその背景
1. 血栓症をきたす病態:血液の因子を詳細に検討してみよう
2. 心筋梗塞
3. 脳 梗 塞
4. 深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症
5. 播種性血管内凝固症候群(DIC)
6. 血栓性微小血管障害症(血栓性血小板減少性紫斑病)
Part 4 血栓症の治療と予防
1. 血栓症治療:新時代の考え方
2. 抗血小板療法
3. 抗凝固療法:経口薬
4. 抗凝固療法:注射薬
5. 線溶療法