1 章 脊椎疾患
2 章 先天奇形,発育異常
3 章 感染症,炎症性疾患
4 章 腫瘍・腫瘍類似疾患
5 章 外傷,障害
6 章 代謝・内分泌疾患
7 章 血液・骨髄疾患
8 章 関節疾患
9 章 その他の疾患
2014 年4 月30 日に「放射線科専門医研修カリキュラムガイドライン」が改訂され「放射線科専門医研修カリキュラムガイドライン 2014 年版」が,日本医学放射線学会から発表された.2014 年から放射線科専門医認定試験と放射線診断専門医認定試験は,本ガイドラインに準拠して出題されている.
放射線科専門医や放射線診断専門医を目指す専攻医から,「骨軟部領域は検査部位が全身にわたることや疾患数が多いことに加えて,指導医の数が少ないために他の領域と比べて勉強がしにくい」との声を聞く.
そのような専攻医の自己学習のニーズに応えるために『骨軟部画像診断スタンダード』を編集することになった.編集には日本骨軟部放射線研究会幹事があたり,執筆は主に同研究会会員が担当した.
本書にはいくつか特徴がある.
1.「放射線科専門医研修カリキュラムガイドライン 2014 年版」にリストアップされた疾患を網羅する形で項目立てを行った.したがって,通常のテキストと異なり総論はない.しかし,「単純X 線写真による骨腫瘍の良悪性の評価」,「骨折の分類・治癒過程・合併症」,「単純X 線写真による関節炎の評価」については系統的な説明が必要と考え,総説的な項目立てとした.
2.「放射線科専門医研修カリキュラムガイドライン 2014 年版」に従い,疾患名の見出しの横に専門医レベル(放射線科専門医認定試験レベル),診断専門医レベル(放射線診断専門医認定試験レベル),指導医レベルの三段階にレベル分けをした.あくまで目安ではあるが,勉強の際に参考になると思う.
3.各疾患2 ページ見開きとし,Essentials(要点),臨床的事項,病態生理・病理像,画像所見,参考文献および症例呈示の構成に統一した.ただし,記載事項が多い疾患はこの限りではないが,読みやすい構成を目指した.項目立てには一部に冗長なところもある.例えば,化膿性関節炎と結核性関節炎を「感染症(3 章)」で取り上げたが,「脊椎疾患(1 章)」においても化膿性脊椎椎間板炎と結核性脊椎椎間板炎を取り上げ
た.また,びまん性骨増殖症(DISH)は「脊椎疾患(1 章)」でも「その他の疾患(9 章)」でも取り上げた.「放射線科専門医研修カリキュラムガイドライン2014 年版」に準拠することで,専攻医にとって勉強しやすいと判断したからである.
本書は基本的に症例集であり,どこからでも読み始められる.また,その日に遭遇した疾患を読み返して復習に使っても良い.放射線診断専門医を目指す専攻医を対象に編集したが,放射線診断医の生涯教育や整形外科実地医家の参考書としても恰好のテキストになったと考えている.
最後に本書の上梓にあたり,多忙のなか,快く執筆いただいた先生方,企画から編集までお世話いただいたメディカル・サイエンス・インターナショナル編集部の正路 修氏と後藤亮弘氏に深謝する.
2014 年師走
編者を代表して
福田国彦