体液異常と腎臓の病態生理 第3版

よくわかる病態生理のロングセラーテキスト、最新版
腎臓疾患のメカニズムや病態生理を学ぶ医学生・研修医をはじめ、専門医、指導医にも最適な定評あるテキスト、8年ぶりの改訂。各章冒頭で腎臓に関わる主要疾患の具体的な症例を提示し、診断・治療を行なう際に必要とされる基礎的な理論や病態生理に関する知識を明快に解説。また各章には適宜設問が挿入され、理解度を確認しながら読み進むことができる。改訂に際し、新しい知見を取り入れ図版を刷新、全ページフルカラー化。

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『体液異常と腎臓の病態生理 第3版』電子版

¥6,380 税込
監修:黒川 清 政策研究大学院大学 客員教授/日本医療政策機構 代表理事/東京大学名誉教授 監訳: 和田健彦 東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科講師 花房規男 東京大学医学部附属病院腎疾患総合医療学講座特任准教授
ISBN
978-4-89592-806-9
判型/ページ数/図・写真
B5変 頁376 図106・写真2
刊行年月
2015/3/25
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腎生理の総説
水・ナトリウムの調節
水 分バランスの疾患
低ナトリウム血症,高ナトリウム血症,多尿
浮腫と利尿薬の使用法
酸塩基生理学と代謝性アルカローシス
代謝性アシドーシス
カリウムバランスの異常
尿検査と腎疾患患者へのアプローチ
主な糸球体疾患と血管病の病態機序
尿細管間質疾患
急性腎不全
慢性腎不全の進行
慢性腎不全の症候

<監修者序文>

本書は“Renal Pathophysiology:The Essentials”の翻訳第3 版である.第1 版は,Up-ToDate の創始者として今や腎臓病学のみならず医学全般で有名となった優れた教育者であるBurton Rose と,病理学が専門で優れた腎臓に関する業績があり,やはり教育者として定評のあるHelmut Rennke の共著であったが,その後Rennke とBradley Denkerが引き継ぐ形で版を重ねている.その根幹となる部分は継承しつつ,しかし随所に新しい知見・話題を取り入れ,充実した内容となっている.このため,学生・研修医といった若手から,腎臓専門医・指導医に至るまで,幅広いニーズに応える内容となっているのは特筆すべき特徴である.
水・電解質,酸塩基平衡は腎臓において実に精緻にコントロールされており,経口摂取の質や量,外的環境が変化しても体液バランスはほぼ一定に保たれる.しかし様々な要因によってこの腎臓を中心としたホメオスタシス維持機構が障害されると体液バランスの異常が起こる.臨床の現場ではこれらの体液異常に遭遇することは実に多く,一般臨床医が最も悩まされる機会の多い問題の一つであろう.したがって,腎臓専門医にとっては体液調節系とその異常についての専門的な知識とコンサルテーションでの力量が試される部分である.
理学所見や検査所見からどのように体液の状態を評価するか,いかに理論的にしかもわかりやすく病態生理を説明できるか,それに関連する最新の基礎研究の成果にはどのようなものがあるか,臨床研究からのエビデンスは何か,治療方針はどのようなもので,その根拠は何か,あるいはそれを支持するデータは何か,などなどの事柄を明快に相手に伝えることができるかどうかによって腎臓専門医・指導医の力量が計られることになる.
本書の初版時に比べると,日本でもevidence-based medicine はかなり定着してきた感はあるが,臨床の現場に立つ者として,その実践こそが重要である.いわば,臨床医は「知的プロ」であるべきで,そうなるためには若いうちから基本を身につけ,考え方のトレーニングを積み重ねることが大事である.
このようなテキストブックになじみ,その内容を理解して身につけ,臨床の現場での経験を通して完全に自分のものとしてほしい.そのような気持ちでこのテキストブックの新しい日本語版をお届けしたい.多くの方が本書を手にとって楽しみ,臨床の現場,教育の場で大いに役立ててほしい.
最後に本書の翻訳と全体の構成に多くの時間を割いてくれた東京大学腎臓・内分泌内科の和田健彦先生,東京大学医学部腎疾患総合医療学講座の花房規男先生,また一次翻訳を担当してくれた諸先生に深く感謝する.
2015 年2 月
黒川 清


<原著者序文>

この“Renal Pathophysiology:The Essentials”の原書第4 版においても,われわれは旧版のデザインとアプローチに関する原則を踏襲している.この数年,医学生のみならず病棟医,腎臓内科フェロー,そして同僚たちから多くのコメントや提言をいただいた.彼らのフィードバックや激励の言葉に深く感謝する.これらの提案に鑑み,この版では腎機能障害に至るメカニズムの分子的側面と腎臓を侵す主要疾患の形態学的所見に関する部分を拡充した.また今回,図版はフルカラーで示している.参考文献のリストも一新し,各章の終わりに生理学に関する要約をつけてある.しかし,本書の核心と主目的には変わりがない.すなわち,学生諸君に腎機能低下や腎臓病の原因となるメカニズムを確実に理解してもらうこと,腎病態生理学の基本的な読み物であり教科書であることの2 点を目指している.
HGR, BMD

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