病棟や救急と勝手が違う外来には外来のコツがある
Do not missを意識しながら,
外来でよくみる疾患をしっかり診断できるようになろう
ホスピタリストはもともと「病棟患者のマネジメントための専任医師」という概念で,米国から始まりました。対する我が国では,病院勤務医が病棟のみで診療している場面は少ないかと思われます。外来診療と入院診療の比重は,個人差・施設差があるにせよ,外来がゼロというケースはまれでしょう。そこで本特集号では,病棟での内科患者診療との違いを意識しながら外来診療を行うコツに焦点を当てます。
外来診療全体は非常に幅広く,1冊の雑誌で扱うことは不可能です。また,外来をテーマにした書籍は多く,総合診療系の雑誌では外来患者のトピックも多く扱われています。Hospitalist誌では「外来における予防医療」という特集号がすでに出ていることから,今回の特集では病棟や救急ではなかなかみる機会がないが,外来ではよく遭遇する症候・疾患をしっかり診ることができるようになることを目標として,入院診療中心のホスピタリストが苦手としやすい主訴を取り上げます。
はじめに|外来には病棟や救急とは違った醍醐味がある
金城 紀与史 沖縄県立中部病院 総合内科
総論
1. そもそも外来とは:全体像を俯瞰して,ホスピタリストに求められる外来診療を考える
矢吹 拓 国立病院機構 栃木医療センター 内科
[コラム①] 外来教育①米国編:いつ,どのように外来研修・指導が行われているのか
伊藤 真次 Kokua Kalihi Valley Comprehensive Family Services
[コラム①] 外来教育②日本編:限られた時間・資源のなかで外来を指導する際の注意点と教え方
朴 大昊 大山町国民健康保険 大山診療所/鳥取大学医学部 地域医療学講座
岡田 唯男 亀田ファミリークリニック館山/亀田メディカルセンター 家庭医診療科
各論
2. 関節痛:関節炎を区別できるようになろう!
松井 和生 斗南病院 リウマチ・膠原病科
3. しびれ:局在診断から考える鑑別診断
上田 剛士 洛和会丸太町病院 救急・総合診療科
4. めまい:BPPVを本当に診断できてますか?:画像に頼らない中枢性の別のめまいの鑑別
五島 史行 東海大学医学部 耳鼻咽喉科
[コラム②] 振戦・ふるえ:治療可能な症状を見逃さない,外来での目のつけどころ
原瀬 翔平・柴山 秀博 亀田総合病院 脳神経内科
5. 歩行障害:整形か,神経か,それ以外か? 診断ポイントを押さえよう!
難波 雄亮 安房地域医療センター 総合診療科/沖縄県立中部病院 総合内科
6. 頭痛:自信をもって「片頭痛」を診断しよう!
西垂水 和隆 慈愛会今村総合病院 救急・総合内科
7. 認知症:ホスピタリストの対応範囲を意識しながらPros×Consで迫る!
松原 知康 広島大学病院 脳神経内科
井口 正寛 福島県立医科大学医学部 脳神経内科学講座
8. 身体症状を呈する精神疾患:パニック発作・不安障害・うつ病を敬遠しない!
加藤 温 国立国際医療研究センター病院 精神科
9. 精神疾患と間違えやすい内因性疾患:外来でよくみる疾患のピットフォール
本村 和久 沖縄県立中部病院 総合内科
10. 浮腫:主な4つの病態と,よく見逃されている慢性静脈不全(CVI)!
工藤 仁隆 飯塚病院 総合診療科
11. 腰痛症:薬と画像でごまかさず,頻度を考えた適切なアプローチをしよう
鵜木 友都 飯塚病院 総合診療科
[コラム③] 爪からここまでわかる:体調不良や全身疾患の存在を知らせる所見を知っておこう
冨山 周作 飯塚病院 総合診療科
[コラム④] アルコール使用障害:医療者次第で,患者は回復できる機会を平等にもち得る
久我 弘典 九州大学病院 精神科神経科
[コラム⑤] 禁煙:タバコに対する誤解を解き,喫煙をしなくても生活ができるという認識をもたせる
清水 隆裕 敬愛会ちばなクリニック 健康管理センター
【連載】
セミナーフリーク西村の突撃!となりの勉強会
第5回|東京大学医学教育国際セミナー,チーフレジデントミーティング
西村 義人 岡山大学病院 総合内科
JHospitalist Network
第10回JHNセミナー開催報告:内科医として知っておきたい がん患者を診るうえでの必須知識2019
近藤 猛 名古屋大学医学部附属病院 総合診療科
黒田 真里奈 三重県立志摩病院 内科
野﨑 博司 豊田地域医療センター 総合診療科
学会報告2019
第3回|Chiba Clinical Skills Boot Camp開催報告:臨床研修で修得すべきフィジカルを極める!
鋪野 紀好・生坂 政臣 千葉大学医学部附属病院 総合診療科
Clinician Update
官澤 洋平・石丸 直人 愛仁会明石医療センター 総合内科
2022-10-12
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
102ページ右段上から13〜17行目
(誤)
具体的な期間を明示している診療ガイドラインの例として,米国老年医学会33)(最大用量での治療を6~8 週間行っても改善ない場合,中止),米国家庭医療学会34)(12 週間の治療で改善ない場合,中止)によるものがある。
(正)
具体的な期間を明示している診療ガイドラインの例として,米国老年医学会33)(12 週間の治療で改善ない場合,中止),米国家庭医療学会34)(最大用量での治療を6~8 週間行っても改善ない場合,中止)によるものがある。
2019-06-20
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
75ページ 臨床メモ① 左段の最終行
(誤) 末梢血管の脈拍触知と大腿部血管雑音が
(正) 末梢血管の脈拍触知不可と大腿部血管雑音が
2019-06-18
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
66ページ 表4 「本態性振戦(ET)」の列の「振戦の特徴」の項目
(誤) 両側の安静時振戦であることが多い
(正) 両側の姿勢時振戦であることが多い