日本では,米国型の集中治療専従医が治療をするという施設は圧倒的に少ないのが現状です。一般内科医も集中治療の知識をもち,自分である程度管理できるようになることが大事です。
本特集は一般内科医が現場で相談できる相手がいない状況で,
「ひとりぼっちになったときに読む本」
をまず念頭におきました。
構成は,基礎知識を頭に入れたのち,システムごとに,典型的な症例(日本の大多数の非専門医のセッティングを念頭に)をイメージしながら読み進められるようにしました。
各項目のトピック,CQのフォーカスのポイントとして,内科医が比較的得意とし,当たり前にできることは割愛し,System by Systemで必ずディスカッションになるところ,すべての患者に必要なアセスメントを中心にまとめています。
本特集の副題は,“The Revolution of Critical Care Medicine in JAPAN”としました。
「ユニットとしての集中治療」から「学問としての集中治療医学」へ,令和になってこのポイントが転換点かもしれません。読者の皆さんはそんな時代を見ているのだと思っていただき,是非,仲間を作って重症患者についてディスカッションしていただきたいと思います。 本書がその最初の一歩になれば幸いです。
電子版はこちら(医書JP)
はじめに 総合内科のための集中治療医学
安宅 一晃 奈良県総合医療センター 集中治療部
Part1 集中治療の基礎知識
第1章 ICUの形態,重症度スコア,入退室基準
則末 泰博 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科
第2章 RRS(rapid response system)
内藤 貴基 聖マリアンナ医科大学 救急医学
第3章 コード・事前指示
瀬尾 龍太郎 神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター
美馬 裕之 神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科
Part2 システムごとに診る
第4章 神経:鎮痛・鎮静・せん妄
安田 英人 亀田総合病院 集中治療科
コラム1 低酸素脳症
江川 悟史 TMGあさか医療センター 神経集中治療部
第5章 呼吸:①人工呼吸器総論
田中 竜馬 LDS Hospital 呼吸器内科・集中治療科
第6章 呼吸:②人工呼吸器離脱
古川 力丸 日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学分野/板倉病院 救急科
ミニコラム1 気道確保(DAM)
中川 雅史 東京女子医科大学 集中治療科
ミニコラム2 集中治療におけるシミュレーショントレーニング
宮部 浩道 総合大雄会病院 集中治療科
コラム2 非侵襲的換気療法(NIV)とネーザルハイフロー(HFNC)
小尾口 邦彦 京都市立病院 集中治療科
コラム3 ARDS
片岡 惇 練馬光が丘病院 総合診療科/救急・集中治療科/東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 集中治療部門
第7章 循環:①総論
中村 通孝 奈良県総合医療センター 集中治療部
第8章 循環:②敗血症
増渕 高照・林 淑朗 亀田総合病院 集中治療科
第9章 消化器
後藤 安宣 市立奈良病院 集中治療科
第10章 腎臓
服部 憲幸 千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学/千葉大学医学部附属病院 人工腎臓部
中田 孝明 千葉大学医学部附属病院 人工腎臓部
織田 成人 千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学
第11章 血液
西田岳史,山川一馬 大阪急性期・総合医療センター 救急診療部
第12章 感染症:ICUの発熱にどのように対処すべきか?
志馬 伸朗 広島大学大学院医系科学研究科 救急集中治療医学
第13章 内分泌
江木 盛時 神戸大学大学院医学系研究科外科学講座 麻酔科学分野
Part3 予防とpost ICUケア
第14章 予防
櫻谷 正明 JA広島総合病院 救急・集中治療科
吉廣 尚大 JA広島総合病院 薬剤部
第15章 post-ICUケア
川上 大裕 神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科
ミニコラム3 ABCDEFバンドル
川上 大裕 神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科
2020-01-16
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
303ページ:表7「DOAC使い分け」の「1日1回を好む患者」
(誤) エリキュース・イグザレルト
(正) リクシアナ・イグザレルト