INTENSIVIST(インテンシヴィスト) 2020年2号

特集:災害とICU



近年,世界中で人為的災害が多発し,これまで比較的安全とされていた国でもテロ事件が発生するようになってきました。時代と共に変遷する災害の形態や特徴に,我々医療従事者も常に進化し,対応していかなければなりません。災害発生時,集中治療医には,資源の需給バランスや治療優先度など,さまざまな要素を判断しながら診療にあたることが求められます。そのためには,日頃から災害医療の専門家と共通言語でコミュニケーションをはかり,病院やICUの災害対応計画の策定および向上に積極的にかかわるべきといえるでしょう。本特集では, 2020年東京オリンピック・パラリンピックを目前にし,集中治療医学においてオリ・パラとその先までを見据えた災害医療の基礎固めが必要とされる今,知識と知見の整理を行います。




  • 「世界標準の集中治療を誰にでもわかりやすく」をコンセプトに、若手医師の育成や情報交換を目的として発足した「日本集中治療教育研究会」(Japanese Society of Education for Physicians and Trainees in Intensive Care=JSEPTIC)の活動をベースに、年4回発行。

  • 毎号1つのテーマを決め、最新のエビデンスに基づいて、現在わかっていること/わかっていないことを検証、徹底的に解説。施設ごとに異なる診療を見直し、これからの集中治療のスタンダードを提示する。

  • 重症患者の治療にあたる医師として最低限必要な知識を手中に収めるべく、テーマは集中治療にとどまらず、内科、呼吸器、救急、麻酔、循環器にまで及び、ジェネラリストとしてのインテンシヴィストを追求する。

  • 集中治療専門医、それを目指す若手医師をはじめ、専門ナース、臨床工学技士、さらには各科臨床医に対し、集中治療を体系的に語り、議論し、意見交換ができる共通の場(=アゴラ)を提供する。



 










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特定非営利法人 日本集中治療教育研究会


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¥5,060 税込
責任編集: 櫻井 淳(日本大学 医学部 救急医学) 成松 英智(札幌医科大学 医学部 救急医学講座) 加藤 聡一郎(Department of Social and Behavioral Sciences, Harvard T.H. Chan School of Public Health/杏林大学 医学部 救急医学) 藤谷 茂樹(聖マリアンナ医科大学 救急医学)
ISBN
978-4-8157-0091-1
刊行年月
2020年4月
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1. これからの日本の災害時集中治療を考える
  成松 英智 札幌医科大学医学部 救急医学講座 高度救命救急センター
  櫻井 淳 日本大学医学部 救急医学
2. 集中治療医は災害にどう備え,どう対応すべきか
  氏家 良人 函館市病院局

Part 1.ICUと災害対応計画
1.災害医療総論:ICUをおびやかす災害とマスギャザリングを理解し,その対応を考える
  水野 浩利 札幌医科大学医学部 救急医学講座
【コラム】2020オリパラに向けた日本集中治療医学会の活動に参加して:
 2020年東京オリンピック・パラリンピックに係る救急・災害医療体制を検討する学術連合体(コンソーシアム)とは?
  櫻井 淳
2.病院ICUでの災害対応:ICU拡張計画surge capacityと集中治療トリアージ
  遠藤 裕 新潟大学医学部 救急医学講座/新潟大学医歯学総合病院 高度救命救急センター・集中治療部
3.災害時のICUとBCP:ICU機能を継続させるために
  中尾 博之 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 災害医療マネジメント学講座
4.重症傷病者の搬送:二次医療圏レベルを中心とした一元管理が必要
  近藤 祐史 日本赤十字社医療センター 救急科/国内医療救護部
【コラム】空飛ぶICU:航空自衛隊航空隊としての挑戦
  山口 大介 防衛省 航空幕僚監部 首席衛生官付衛生官
  山元 翔太郎 防衛省 航空自衛隊
5-1.ICU看護師の役割①:surge capacity強化のために看護師に求められることは
  後藤 順一 河北総合病院 救急医療センターICU
5-2.ICU看護師の役割②:ICU看護師の備災と心構え
  渕本 雅昭 東邦大学医療センター大森病院 救命救急センター
6.臨床工学技士の役割:まず医療機器とICUライフラインを知ることから
  森實 雅司 済生会横浜市東部病院 臨床工学部
  三木 隆弘 日本大学病院 臨床工学室
7.薬剤師の役割:医薬品の供給と備蓄における現状と課題
  原 直己 横浜労災病院 薬剤部
8.病院事務の役割:事務担当者は災害対策の要である
  溝辺 倫子,舩越 拓 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 救急外来部門

Part 2.mass casualty incidentへの備え
1.熱中症対応とICU:多数傷病者事故発生時のICU対応に即して
  清水 敬樹 東京都立多摩総合医療センター 救命救急センター
2.重症熱傷患者対応とICU:国際的な連携も念頭におきながら熱傷診療を組み立てる
  井上 貴昭 筑波大学医学医療系 救急・集中治療医学
  小倉 崇以 済生会宇都宮病院 救急・集中治療科/World Health Organization(WHO)
   Emergency Medical Team(EMT)Technical Working Group on Burns
3-1.感染症・生物災害対応とICU①:多数感染症患者発生時のICUの運用
  守山 祐樹,忽那 賢志 国立国際医療研究センター 国際感染症センター
3-2.感染症・生物災害対応とICU②:感染症・生物災害の診断から治療まで
  太田 雅之,忽那 賢志 国立国際医療研究センター 国際感染症センター
4.放射線災害対応とICU:放射線の知識だけでなく,専門家や多機関との連携が不可欠
  島田 二郎 福島県立医科大学附属病院 災害医療部
5.銃創・爆傷患者対応とICU:テロの脅威に備え,銃創・爆傷の臨床を理解する
  吉村 有矢 防衛医科大学校病院 救急部
【コラム】災害やパンデミックにおける医療の倫理的ジレンマ:
 医療資源の分配,患者らへの倫理的配慮,医療・行政機関の倫理的責務,研究の実施を軸に考える
  今長谷 尚史 東京大学大学院医学系研究科 医療倫理学

Part 3.ICUと災害・テロ・事件の歴史
【コラム】地下鉄サリン事件とICU:CSCATTT普及前は,多数傷病者発生事故にどのように対応したのか
  石松 伸一 聖路加国際病院 救急部
【コラム】JR福知山線脱線事故とICU:都市型災害に多いクラッシュ症候群への対応
  秋冨 慎司 防衛医科大学校病院 救急部
【コラム】東日本大震災とICU:
①被災地の大学病院で何が起きたか
  山内 聡 仙台市立病院 救命救急センター
②福島第一原発事故の体験からICUを考える
  島田 二郎
【コラム】熊本地震とICU:ICSの3つのC,なかでもCoordinationの重要性を学ぶ
  永田 高志 九州大学大学院医学研究院先端医療医学講座 災害・救急医学分野
【コラム】建設中ビルの火災事故による多数気道熱傷患者発生事案とICU:
 多数傷病者の受け入れだけでなく通常診療の継続も念頭に計画を立てる
  久野 将宗・中山 文彦 日本医科大学多摩永山病院 救命救急センター
【コラム】川崎市登戸通り魔事件とICU:小児の生理学的特性とトリアージシステム
  下澤 信彦・森川 大樹・藤谷 茂樹 聖マリアンナ医科大学 救急医学

連載
■え?知らないの?災害と人工呼吸器
〈シリーズ構成:森實 雅司 済生会横浜市東部病院 臨床工学部〉
矢田 哲康 川崎市立多摩病院(管理指定:聖マリアンナ医科大学) クリニカルエンジニア部
       国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 保健医療学専攻災害医療分野
■Lefor’s Cornor:第36回:
Vascular Access and Hemodynamic Monitoring. Part XVII.
Venous Cutdown
  Atsuko Inagawa, Alan Kawarai Lefor Department of Surgery, Jichi Medical University
■国際学会へ行こう!:CHEST Annual Meeting 2019
  鍋島 正慶 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 集中治療部門
■集中治療に関する最新厳選20論文
  田邊 翔太 松江赤十字病院 救急総合診療科
  吉田 英樹 聖マリアンナ医科大学 救急医学

脳科学を網羅する教科書

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