医療に役立つ遺伝子関連Web情報検索 第2版 - 手とり足とり教えますガイド -

遺伝子と遺伝性疾患に関連したデータベースの使い方をわかりやすく解説した入門書。4年ぶりの改訂により、全面的にアップデート。NCBIなどの基本はそのままに、gnomADやLRGなど新規サイトを追加。ClinVar、PolyPhen-2、COSMICなどを刷新、がんゲノム医療関連の内容を充実。遺伝子バリアント/変異の検索をはじめ、検査・診断に有用なWebサイトも紹介。初めての人でも迷わないように、PC画面の図とともに1ステップずつ操作を紹介。医師、コメディカルスタッフ、研究者の1冊目として最適。

¥3,520 税込
中山智祥 日本大学医学部病態病理学系臨床検査医学分野教授
ISBN
978-4-8157-0197-0
判型/ページ数/図・写真
AB判 頁148 図120
刊行年月
2020年7月
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0章 この本を使いこなすために
0.1この本を使いこなすために──医療に役立つ遺伝子関連Web 情報検索へようこそ
● 遺伝子関連検査・診断では,なぜWebを用いた情報検索が必要か
● 患者さんのゲノムを調べて,病気の原因になるかどうかを判断したい
● この本の構成を知って,この本を使いこなそう
● Gitelman症候群を遺伝性疾患の例に用いて解説します
● ジェネティックエキスパート認定制度試験の準備のためにも
● 本書の特徴
0.2 遺伝子を調べる検査にはどんなものがある?
● 遺伝子関連検査の分類
● 遺伝学的検査はどんなときに行う?
■基本になるデータベースの使い方 9
NCBI(エヌシービーアイ)
OMIM(オミム〈英語ではオウミム〉)
GeneReviews(ジーンレビューズ)
PubMed(パブメド)
1章 疾患について調べよう
1.1 OMIMでGitelman 症候群について調べる
● Gitelman症候群を検索する
● Gitelman症候群の特徴を調べる
● Phenotype-Gene Relationshipsの見方
1.2 OMIMでGitelman 症候群の原因遺伝子について調べる
● Gitelman症候群の原因遺伝子のページを開く
1.3 GeneReviews 日本語版でフェニルケトン尿症について調べる
● フェニルケトン尿症を検索する
1.4 PubMed でGitelman 症候群の文献を調べる
● Gitelman症候群の文献を検索する
● フィルターをかけて検索してみよう
● 文献のページを開いてみよう
2章 遺伝子について調べよう
2.1NCBI でSLC12A3 遺伝子についての情報を得る
● NCBIでSLC12A3遺伝子を検索する
● SLC12A3遺伝子の「玄関」が開く
2.2 NCBI でSLC12A3 遺伝子のDNA 塩基配列を得る
● SLC12A3遺伝子のDNA配列を得る
● SLC12A3遺伝子のDNA配列をダウンロードする
2.3 NCBI でSLC12A3 遺伝子のmRNA 塩基配列を得る
● SLC12A3遺伝子のmRNA配列を得る
● SLC12A3遺伝子のmRNA配列をダウンロードする
2.4 NCBI でSLC12A3 遺伝子のエクソンを調べる
● SLC12A3遺伝子のGenBankのページを見る
● SLC12A3遺伝子のエクソンの情報を見る
● 演習:SLC12A3遺伝子のエクソンを確認しよう
2.5 プライマーを設計する
● プライマーを設計するときのオキテ
● 演習:SLC12A3遺伝子の第2エクソンを増幅するプライマーを設計する
3章 個人差の配列であるバリアントを調べよう
3.1 dbSNP で遺伝子のSNV を調べる
● NCBIの遺伝子のページからdbSNPを開く
● SNVに関する既知情報をチェックしよう
● マイナーアレルとは?
3.2 gnomAD で遺伝子のバリアントの情報を得る
● gnomADを開いて遺伝子名で検索しよう
● SLC12A3遺伝子のページを開いて情報を見る
● バリアントの情報を調べる
● 個々のバリアントについて詳しく知りたいとき
3.3 ClinVar でバリアントと疾患との関係性を見る
● ClinVarを開いてみよう
● SLC12A3遺伝子のリストからバリアントを選択する
● バリアントの臨床的意義やその根拠の確からしさを確認する
3.4 塩基配列とバリアントの表記法,および機能に関する解釈
● ヒトゲノム参照配列を標準として用いる
● 塩基配列の変化であるバリアントの表記法
● 両親由来のそれぞれのアレルがどちらの染色体にあるか
● バリアントがどんな影響を持つかは「機能」への影響で表す
3.5 ClinGen Allele Registry でバリアントの表記を確認する
● ClinGen Allele Registryを開いてアレル識別番号を調べる
3.6 LRG で遺伝子の推奨された参照配列の表記を調べる
● LRGを開いてBRCA2遺伝子について調べてみよう
3.7 Mutalyzer でバリアントの表記が正しいかをチェックする
● Mutalyzerを開いてバリアント表記を入力する
● チェックされた結果が表示される
3.8 PolyPhen-2 でバリアントの機能を予測する
● PolyPhen-2を開いてみよう
● バリアントが何番目のアミノ酸の変化なのかを調べる
● タンパク質の参照配列を入手する
● PolyPhen-2に参照配列とアミノ酸変化を入力する
3.9 PROVEAN とSIFT でバリアントの機能を予測する
● PROVEANを開いて入力しよう
● PROVEANに入力する
4章 がんに関係するバリアントを調べよう
4.1 がんの遺伝子を調べる意義は?
● がんの体細胞遺伝子検査
● 遺伝性のがんは遺伝学的検査を行う
● de novo(デノボ)の変異が原因のがん
● がんゲノム医療が始まった
4.2 COSMIC でがんに関連する遺伝子を調べる
● COSMICを開いて,バリアントを検索してみよう
● ある臓器・組織に多い遺伝子バリアントが何かを調べることもできる
● FATHMM prediction(バリアントの機能予測)を自分で行ってみる
4.3 CIViC でがんのバリアントの臨床的解釈をチェックする
● BRAF遺伝子のバリアントについて調べてみよう
5章 その他の有用なデータベースも見てみよう
5.1 その他の有用なデータベース一覧
● いろいろなデータベースも試してみよう
6章 遺伝学的検査の報告書と結果の解釈および資格について
6.1 遺伝学的検査の報告書のガイドライン
● 国際的なガイドライン
● 日本のガイドライン
6.2 遺伝学的検査の解釈の仕方
● 塩基配列の変化が,アミノ酸配列を変化させるかどうかが重要
● 報告されているバリアント情報を文献で確認する
● 日本で保険収載されている遺伝学的検査
6.3 臨床遺伝および遺伝子関連検査に関する資格
● 資格一覧
6.4 期待されるジェネティックエキスパート認定制度
● 新しくスタートした認定制度
● ジェネティックエキスパートに期待されること
7章 ジェネティックエキスパート認定制度が始まった
● 新しくスタートした認定制度
● ジェネティックエキスパートに期待されること

コラム
遺伝形式って何?
単一遺伝子疾患と多因子遺伝性疾患
体細胞と生殖細胞系列の違いは?
DNA やmRNA を調べるわけは?
遺伝子のエクソン-イントロン構造は何のために調べる?
遺伝学的検査の技術
バリアント? 変異? 多型?
ダイレクトシークエンシングって何?
DTC 遺伝学的検査(?)と疾患感受性のリスク判定
遺伝カウンセリングって何?

期待されるジェネティックエキスパート認定制度

この本を手に取っていただき誠にありがとうございます。
本書の読者層をどこに置くかについては,筆を進める途中,私自身のなかでも,さまざまなアイデアがありましたが,遺伝や分子生物学の専門的知識を持ち合わせていない人でも利用していただけるようにしたいという,当初の思いを遂げることにしました。本書のメインターゲットは医療関係者や研究者ですが,自分で疾患や遺伝子について調べてみようと思っている人ならば,だれでも活用いただける本にしたかったのです。
それというのも,遺伝や分子生物学に関係する本や教科書は,専門用語が並んでいると,医療関係者であっても理解が困難であるとよく耳にします。多くの医療者は,内科,外科,小児科,産科婦人科などの診療科において忙しく働き,経験を積まれています。そのような医療現場で,常に患者さんを目の前にしているなかにあっては,ヒトの遺伝医療(臨床遺伝)の見聞を深める機会を得るのは困難だと思われます。そして遺伝に関する相談や遺伝学的検査の意思決定を確認するような遺伝カウンセリングの場では,遺伝や遺伝子のことは勉強したことがないという方がクライエントさん(依頼者)としていらっしゃることもあります。そのような現場での状況を踏まえて,「とにかくわかりやすくする」こと,まさに「手とり足とり教えます」を目指しました。
もっと深く専門的なことを知りたいという方には物足りないかもしれませんが,どうかご容赦ください。
さて本著の初版の出版から4 年が経ちました。当初は「web 情報はどんどん更新され変わっていくので本を作ってもしょうがない」とも言われましたが,幸いご購入いただいた方からは,「こんな本が欲しかった」,「これ一冊あれば,実験に至るまでの情報検索はばっちりだと思います(Amazon 書評)」など,うれしい声をたくさんいただきました。この4 年間で,医療を取り巻く環境のみならず,社会も激変しました。日本は平成から令和へ改元し,がんゲノム医療が進められたことでがんゲノムプロファイリング(パネル)検査の保険診療が承認され,新型コロナウイルス感染症が起こり,東京オリンピックの開催にも影響が生じました。日々のニュースでもPCR法という言葉を当たり前のように聞くようになりました。こうした社会状況から,医療はますます重要な役割を果たしていることを,改めて深く感じました。そしてここに第2 版を送り出すことになったのです。第2 版の変更点として,web サイトの内容を含め全体的に情報を刷新したこと,バリアントの検索を充実させたこと(第3章),がんに関する検索の章を独立させたこと(第4 章)です。
私は,医師としては高血圧・内分泌学を専門領域にスタートし,分子生物学・臨床遺伝学を通じて診療・研究に従事,臨床検査医学の現場に遺伝子関連検査を適用していくことを大きな目標としています。研究を始めた20 年以上前は,ヒトゲノムのDNA 塩基配列をすべてつなぎ合わせた情報はまだ得られておらず,DNA 塩基配列そのものを決定することが研究テーマでした。しかし今は違います。インターネットの時代になり,一人の人間の基準となるDNA 塩基配列(参照配列)を,web で簡単に見ることが可能です。それを基本情報として,個人差や疾患に関係する配列(バリアント)がweb に登録されているのです。現代ではヒトの遺伝医療(臨床遺伝)に関わる人もそうでない人も,すべての人がweb 情報を用いて臨床遺伝情報を調べることができます。医師や看護師は受け持ちの患者さんの病態を検索するために,遺伝学的検査を実施した者は検出されたバリアントが本当に疾患に関係しているかの検索のために,研究者は研究対象の検索のために,遺伝カウンセリングを受けるクライエントの方はご自分の病態の検索のためになど,いろいろな活用の仕方があるでしょう。私の長年の思いを実現した結晶であるこの本が,あなたの役に立ち,文字通り手引書になれば,こんなにうれしいことはありません。
最後になりますが普段からご鞭撻いただいている福嶋義光教授,羽田明教授,小杉眞司教授に心から感謝申し上げます。また,日本遺伝子診療学会ジェネティックエキスパート認定制度委員会メンバーの足立香織先生,雨宮健司先生,長田誠先生,柿島裕樹先生,才津浩智先生,佐藤謙一先生,中條聖子先生,中村剛史先生,データ解析・提供にご協力いただいた日本大学医学部病態病理学系臨床検査医学分野の客員研究員の皆さん,執筆に多大な御協力をいただいたメディカル・サイエンス・インターナショナル社の藤川良子さん,星山大介さん,魅力的なイラストを賜ったイラストレーターの方にお礼を申し上げます。
2020 年6 月
中山智祥

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