あの“セイフラ”が“セイプラ”になってリニューアル!
初学者からベテランまで使える実践的指南書
病棟診療に必要とされる膨大な量の臨床上の原理原則を、図表、ネモニクス、KeyPoint等をふんだんに盛り込み読者が覚えやすいよう工夫して編まれた定評ある入門ガイド、15年ぶりの改訂。改訂に際し、周術期管理に関する章を追加し、全面的にアップデート。また今版より編者セイントがチョプラとタッグを組み,彼らと親交の深い徳田安春先生が日本語版監修を担当。医学生をはじめ、入院患者を診る機会のある研修医や内科系医師の必携書。
南砺の病院家庭医が 勉強記録を始めました(大浦誠先生ブログ)
Section 1 医学的問題に対する一般的なアプローチ
(監訳・訳:栗原 健)
第1 章 鑑別診断へのアプローチ
第2 章 医学的決断へのアプローチ
第3 章 終末期ケア
第4 章 医療関連合併症の予防
Section 2 心臓病学
(監訳・訳:佐藤 直行)
第5 章 心電図判読
第6 章 失神
第7 章 不整脈
第8 章 心房細動
第9 章 胸痛
第10 章 狭心症
第11 章 急性冠症候群
第12 章 心不全
第13 章 ショック
Section 3 呼吸器疾患と集中治療医学
(監訳:名嘉村 敬/ 訳:栗原 健)
第14 章 急性呼吸困難
第15 章 喀血
第16 章 胸部X 線写真へのアプローチ
第17 章 低酸素血症
第18 章 呼吸機能検査
第19 章 閉塞性肺疾患
第20 章 間質性肺疾患
第21 章 肺炎
第22 章 肺高血圧症
第23 章 肺塞栓症
第24 章 胸水
第25 章 呼吸不全
第26 章 人工呼吸
Section 4 消化器疾患
(監訳:鈴木 智晴/ 訳:金城 俊一)
第27 章 腹痛
第28 章 肝機能検査
第29 章 急性下痢症
第30 章 急性消化管出血
第31 章 脾腫
第32 章 腹水
第33 章 急性膵炎
第34 章 アルコール性肝障害
第35 章 肝不全
Section 5 腎疾患と酸塩基平衡障害
(監訳:鈴木 智晴/ 訳:須田 和佳子)
第36 章 腎臓病学の概要
第37 章 急性腎障害
第38 章 ネフローゼ症候群
第39 章 腎炎症候群
第40 章 尿細管疾患
第41 章 尿路感染症
第42 章 酸塩基平衡障害へのアプローチ
第43 章 低ナトリウム血症
第44 章 高ナトリウム血症
第45 章 低カリウム血症
第46 章 高カリウム血症
第47 章 高血圧症
Section 6 感染症
(監訳:名嘉村 敬/ 訳:稲生 真夕)
第48 章 発熱に対するアプローチ
第49 章 微生物学的アプローチ
第50 章 発熱と皮疹
第51 章 不明熱
第52 章 皮膚軟部組織感染症
第53 章 急性リウマチ熱
第54 章 感染性心内膜炎
第55 章 HIV 感染患者における合併症
第56 章 HIV 感染患者における呼吸器疾患
第57 章 HIV 感染患者における消化器疾患
第58 章 HIV 感染患者における神経疾患
Section 7 血液疾患/ 腫瘍
(監訳・訳:栗原 健)
第59 章 汎血球減少症
第60 章 血小板減少症
第61 章 血球板増加症
第62 章 貧血
第63 章 赤血球増加症
第64 章 白血球増加症
第65 章 好酸球増加症
第66 章 出血障害
第67 章 凝固亢進状態
第68 章 リンパ節腫脹
第69 章 リンパ腫
第70 章 骨髄増殖性疾患と骨髄異形成症候群
第71 章 白血病
第72 章 形質細胞疾患
第73 章 転移性腫瘍
Section 8 リウマチ性疾患
(監訳・訳:栗原 健)
第74 章 関節炎
第75 章 全身性自己免疫疾患
Section 9 内分泌疾患
(監訳・訳:栗原 健)
第76 章 高カルシウム血症
第77 章 低カルシウム血症
第78 章 糖尿病性ケトアシドーシス
第79 章 甲状腺疾患
第80 章 副腎不全
Section 10 神経疾患
(監訳・訳:栗原 健)
第81 章 意識障害
第82 章 末梢性ニューロパチー
第83 章 めまい(vertigo)
第84 章 吃逆
第85 章 痙攣
第86 章 脳卒中
第87 章 髄膜炎
第88 章 脊髄圧迫
Section 11 皮膚疾患
(監訳・訳:栗原 健)
第89 章 発疹
第90 章 瘙痒症
第91 章 ばち指
Section 12 中毒
(監訳・訳:栗原 健)
第92 章 アルコール中毒と離脱症候群
第93 章 中毒での緊急事態
Section 13 周術期管理
(監訳・訳:栗原 健)
第94 章 非心臓手術における術前の心血管リスク評価
第95 章 非心臓手術における周術期での心血管リスクの低減
第96 章 周術期呼吸器リスクの評価と戦略
第97 章 周術期の投薬
付録:手技
(監訳・訳:栗原 健)
索引
本書は, 2005 年に発刊された『セイントとフランシスの内科診療ガイド 第 2 版』の改訂版である。編者のセイント教授は続投だが,今回からフランシス医師がチョプラ医師に交代となった。また,編者のセイント教授から日本語版 監修者の徳田安春が直接打診されて翻訳を検討し,旧版の監訳者から快く了解いただき,訳者陣を改めることになった。
セイント教授から打診された理由は,彼と私は約10 年来の友人であったことである。ほぼ毎年,知人から招待されて日本の研修病院でティーチングを行うセイント教授を囲んでの懇親会に,私も偶然参加したのが初対面のきっかけだった。懇親会への参加は重要だと感じた瞬間だった。対話を通じて,明るい性格で,発想が豊か,魅力的なリーダーだと感じた。なるほど,全米で最も人気のあるホスピタリスト部門のリーダーだなと理解できた。理想のリーダーである。
セイント教授と私は同年齢でもあり,その懇親会で意気投合した我々は,共同研究やケースカンファレンスなどを共同開催していたから,さまざまな活動を共同で行っている。新潟県の研修病院での闘魂外来や闘魂祭に参加して医学生が診療の主役となる教育イベントにともに参加し楽しく過ごした。また,国際共同研究チームとして多数の研究論文を発表した。
セイント教授は,私がホスピタリストの国際学会に参加する際には,ミシガ ン大学のメンバー内で内輪で行われる学会反省会であるミシガン・ナイトに招待してくれた。約5年前のミシガン・ナイトで,セイント教授が新しく紹介してくれたのが,ヴィニート・チョプラ先生だった。最初から楽しそうに,日本語を流暢に話すチョプラ先生にビックリした。よく聞くと,チョプラ先生の日本語は関西弁であり,昔社会人として数年間関西に住んでいたという。この人は,明るい性格で,頭の回転が速い人だと感じた。
その5年前のとき,すでに話題に挙がっていたのが,今回のセイント・チョプラ版ガイドへの新企画だった。私に日本語版を出してほしいとの打診もそのときからすでに受けており,私が沖縄に異動する話をすると,沖縄の指導医メ ンバーで出してくれと言われた。このような経過で我々が今回日本語版を喜んで担当することになった。訳語がわかりにくいなどのことがあれば,日本語版監修者の責任なので,私までご連絡をお願いしたい。
本書のタイトルは内科診療ガイドとなっているが,原書名は“The Saint- Chopra Guide to Inpatient Medicine" であり,これは入院患者における総合的診療の実践的指南書だ。総論,主訴別鑑別診断,システム別の主要病態,主要手技,などに分かれ,原理原則が簡潔に記載されている。そのため,診断基準やガイドラインの箇条書きはむしろ割愛されている。一方で,世界中の研修医が使っている有名ネモニクスは網羅されている。世界の診療の最前線で活躍している研修医が使っている理由は,そのネモニクスが真に役に立つからであ る。
思えば,セイントとフランシスの原書が出たときに,沖縄で指導医として総合内科をスタートさせたばかりの私も購入し何度も読み返してネモニクスも覚え,研修医の皆さんへの指導にも利用した。世の中ではマニュアルやガイドラインが売れているが,大切なのは臨床の原理原則だ。それをコンパクトにまとめている本書の存在は貴重である。リアルワールドで必要なのは,マニュアル やガイドラインだけでなく,徹底的に原理原則とネモニクスをまとめて提示してくれる書物だと感じていた。
本書の読者対象は,病院の入院患者ケアに関与するすべての医療者である。 医師,研修医,医学生,看護師,病棟薬剤師,医療クラーク,など全員だ。日本の医師は,どの診療科であっても入院患者を担当することがある。内科系病棟ケアを行うときの重要な原理原則が書かれている本書は,すべての診療科の医師の役に立つことになるであろう。
2020 年7 月31 日吉日 那覇にて
徳田 安春