指導医から研修医へ
75年引き継がれてきた伝統、そして信頼
“レジデントのバイブル” 6年ぶりに改訂
●世界的に圧倒的な支持と評価を獲得している内科治療学のバイブル、6年ぶりに改訂。
●ベッドサイドにおける実践的知識とノウハウを網羅。
●手順のみを示すポケットマニュアルとは一線を画し、しっかり読み込むことで、臨床能力を培い高められる。
●疾患名を中心に和文+英語併記を一層充実。薬品名は、日本で発売され使用可能なものはカタカナ、発売されていないものは原則として英語で表記。訳注も適宜追加。
●看護師や薬剤師にも最新の内科治療を概観するテキストとして有用。
●幾世代にもわたり指導医が研修医に薦め、引き継がれ、版を重ねるごとに信頼度を高めてきた、これぞスタンダード。
1 内科入院患者のケア
2 栄養療法
3 心臓病の予防
4 虚血性心疾患
5 心不全と心筋症
6 心膜疾患と心臓弁膜症
7 不整脈
8 重症患者の管理
9 閉塞性肺疾患
10 呼吸器疾患
11 アレルギーと免疫疾患
12 水分・電解質の管理
13 腎疾患
14 感染症の治療
15 抗菌薬
16 性感染症,ヒト免疫不全ウイルスと後天性免疫不全症候群
17 臓器移植医療
18 消化器疾患
19 肝疾患
20 止血異常と血栓症
21 血液疾患・輸血療法
22 癌
23 糖尿病と関連疾患
24 内分泌
25 関節炎とリウマチ性疾患
26 内科的救急疾患
27 神経内科疾患
28 中毒学
付録
A 免疫法と曝露後の治療
B 感染予防対策と隔離法
C 二次救命処置のアルゴリズム
索引
ベッドサイドでの内科治療学の実践マニュアルとして広く知られている“The Washington Manual Ⓡ of Medical Therapeutics”の第36版の刊行より2 年弱,日本語版の出版としては6年振りに,日本語版『ワシントンマニュアル』の第14 版をここにお届けできることは,監訳者としてこのうえない喜びです。
“The Washington Manual Ⓡ of Medical Therapeutics”の初版は,1943 年にワシントン大学医学部のシニアレジデントによって出版されました。その後3~4 年ごとに全面改訂され,すでに75 年余の歴史を重ねています。その発刊より,長年にわたり若い医師たちの診療の拠り所として多大なる信頼を集める本書は,常に最新のエビデンスを取り入れ,内容を刷新しています。今版で特に大きく変わった領域は,虚血性心疾患(第4 章),心不全と心筋症(第5章),心膜疾患と心臓弁膜症(第6章),重症患者の管理(第8 章),呼吸器疾患(第10章),性感染症,ヒト免疫不全ウイルスと後天性免疫不全症候群(第16章),癌(第22章)で,エビデンスにもとづく最新治療の実践に役立つ内容になっています。付録の構成も従来どおり3つとなっていますが,付録Aでは表をより簡潔に整理し,付録B ではWHO の手指衛生の5 つのタイミングの図が加えられています。
前版同様,利用者にわかりやすい簡潔かつ整理された内容であり,一目で要点が捉えられる工夫がされています。日本の読者に向けた訳注も充実させた今版は,前版同様,第一線の臨床家や学生の皆さまに広く活用していただけるものとなっています。
さらに,日頃愛読者や新規読者の皆様から改善すべき点をご指摘いただくことも多く,今版でも心から感謝しつつ修正に注意を払い,本書をさらに洗練すべく努力しました。
また,日本語版では,広い領域にわたる愛読者の皆様の便も考えて,疾患名を中心に和文+英語併記をより一層充実させています。薬品名は従前どおり,日本で発売され使用可能なものはカタカナで,発売されていないものは原則として英語で表記してあります。必要に応じ米国での商品名や使用量をわが国のものに改める努力もしていただきました。ただし,実際に使用される際には薬の添付文書などを一読され,投与量や適応,さらには副作用などを確認していただければ幸いです。
本書には,バイアスのないエビデンスにもとづいて執筆された,内科診療のコア情報がわかりやすく掲載されています。さまざまな医療情報が混在するなか,本書において内科のコア情報を効率よく取り入れ,よりよい最新医療の実践につなげていただければ幸いです。
コロナ禍にあり,臨床現場では今までにない対応が求められる場面が増えています。このようなときこそ,基本を再確認して診療にあたることが,ますます重要になります。本書が皆様のお役に立つことを,監訳者ならびに翻訳協力の医師一同,心から願っております。
2021年3月
髙久 史麿
苅尾 七臣
“The Washington ManualⓇ of Medical Therapeutics”の第36 版をお届けできることはとても名誉なことであり,光栄に思います。今版は,本マニュアルの初版発刊から75 年という節目でもあり,伝統を振り返るよい機会となりました。
本マニュアルはワシントン大学の医師たちのガイドとして,1943 年に第1版が誕生しました。Wayland MacFarlane[編集注:Wayland MacFarlane 博士は,本マニュアルの初代編集長である。]は,医学の歴史の中で最も成功した医学リファレンスマニュアルの基礎となるとは思いもしなかったでしょう。1960年代中頃には,Robert Packman 博士による第16 版が4,000 部も出版されて好評を博するようになり,米国で初めて,多くの医学部で使用されるようになりました。その後の版では,25,000 部を売り上げるまでに成長しています。本マニュアルは医学知識の複雑さが増していく中で,知識を深くかつ幅広く取り入れ普及してきました。MacFarlane 博士が筆を執ってから75 年,患者ケアによい影響を与え,ベッドサイドでエビデンスにもとづいた臨床医の診療を支援するという当初の目的はぶれることなく,本マニュアルは電子版では100万部,紙媒体では20 を超える言語に翻訳されています。
この膨大な著作は,先人の医師たちのたゆまぬ努力によって可能となりました。「私が彼方を見渡せたのだとしたら,それはひとえに巨人の肩の上に乗っていたからです」という有名な言葉が示すように,本マニュアルの各版も先人たちの働きによって成り立っており,シリーズを通して医学の進歩を正確に反映しているといえるでしょう。今版ではまず,ワシントン大学のスタッフであるフェロー,医学生,上級医の皆さまの日々の働きに賛辞を送りたいと思います。それは,彼らのメンタリングや思いやり,指導,才気,そして絶え間ない熱意や鼓舞,献身があったからこそです。私たちは,患者のために共に研鑽を積んできたことをとても幸運に思い,感謝しています。
実質的な支援と指導をいただいたThomas De Fer 博士とThomas Ciesielski博士,本マニュアル制作の機会を与えてくれた本シリーズの編集者たちに深謝します。また,Katie Sharp 氏とWolters Kluwer の編集スタッフの支えや助言にも心から感謝申し上げます。
私たちは,Department of Medicine at Washington University School of Medicinein St. Louis のチーフレジデントとして働けることを名誉に思っています。
私たちのチーフであるMegan Wren,Emily Fondahn,Geoffrey Cislo,Dominique Cosco,Amber Deptola,Patricia Kao の各氏にはメンターとロールモデルとして助けていただきました。プログラムディレクターのMelvinBlanchard 氏には,本マニュアルの制作にあたって,支援と助言をいただきました。最後に,本学の医学部長であるVicky Fraser 氏の素晴らしいロールモデルや指導に心から感謝申し上げます。
Zachary Crees, MD
Cassandra Fritz, MD
Alonso Heudebert, MD
Jonas Noé, MD
Arvind Rengarajan, MD
Xiaowen Wang, MD
医学研究の絶え間ない進歩によって,臨床医学は発展し続けています。臨床家が生涯にわたって学び,医学教育を継続して新しいエビデンスにもとづいた診療を行うことはますます重要なものとなっています。患者の予後改善に役立つ新しいバイオマーカーや,より優れた診断学,新しい治療法が,科学の大きな進歩によって登場してきました。“The Washington ManualⓇ of Medical Therapeutics”
は,内科医が日常で遭遇する一般的な疾患の診断や検査,治療の臨
床アプローチに重点をおき,優れた最新情報を提供します。オンライン版やポケットサイズ版は,インターンやレジデント,医学生,その他の実地医家の大きな助けになることでしょう。さらに本マニュアルは,学習を最適化し,エビデンスにもとづいた患者ケアへと学習を転換させる重要なリソースも提供しています。
著者としてご尽力いただいたワシントン大学/Barnes︲Jewish 病院の医局員やフェロー,ならびに上級医の皆さまにに心から感謝します。著者の皆さまの努力と優れた能力が本マニュアルに結実しています。特に,編集者であるZachary Crees,Cassandra Fritz,Alonso Heudebert,Jonas Noé,Arvind
Rengarajan,Xiaowen Wang の諸氏,そして本マニュアルシリーズの編集者Tom De Fer とThomas Ciesielski 両氏が,この優れた本マニュアルの出版にたゆまぬ努力で取り組んでくれたことを誇りに思います。また,ワシントン大学医学部の医学教育部主任であるMelvin Blanchard 博士には,多大なるご尽力をいただいたことに感謝します。本マニュアルが,患者ケアの改善に役立つ実践的知識を提供するという目的に見合うものであると確信しています。
Victoria J. Fraser, MD
Adolphus Busch Professor of Medicine
Chairman, Department of Medicine
Washington University School of Medicine
St. Louis, Missouri
2024-01-15
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
76頁の26行目
(誤)「初期もしくはACE阻害薬またはARBの併用療法が勧められる」
(正)「初期治療もしくは併用療法として,ACE阻害薬またはARBが勧められる」
148頁の2行目
(誤)「血液献体」
(正)「血液検体」
2021-05-10
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
●第13章
(「高カリウム血症」「治療」の項)
(誤)→現表記(p459)
インスリンはK+ 細胞外液から細胞内液へと移動させ,一時的に血漿[K+] を低下させる。
(正)
インスリン K+を細胞外液から細胞内液へと移動させ,一時的に血漿[K+] を低下させる。
(p490)
「注意事項」4行目
(誤)サルチル酸
(正)サリチル酸
(p508)
「腎代替療法」「透析に向けて」「治療」「療法」の項5行目
(誤)サルチル酸
(正)サリチル酸
●第23章
(誤)→現表記(p925)
訳注1:原著ではATCだが,わが国ではA1CをHbA1cと同等に扱っているため,訳文 ではHbA1cとした。
(正)
訳注1:原著ではA1Cだが,わが国ではA1CをHbA1cと同等に扱っているため,訳文 ではHbA1cとした。
●第27章
(p1047)ツメ
(誤)第17章,位置も。
(正)第27章
●索引
(p1209)
(誤)AALSD(American Association for the Study of Liver Diseases)
(正)AASLD(American Association for the Study of Liver Diseases)
(p1210)
(誤)American Association for the Study of Liver Diseases(AALSD)
(正)American Association for the Study of Liver Diseases(AASLD)