INTENSIVIST(インテンシヴィスト) 2021年3号

特集:COVID-19(ICUにおけるパンデミック対策)



2019年12月に中国武漢で初めて報告されたCOVID-19は,未だ世界中で猛威を振るい続けています。このウイルスの恐ろしい点は,患者のみならず患者家族や医療スタッフ,事務職員を介して静かに感染を拡げてゆき,気づいたら大規模なクラスターが発生していることです。現在までに特効薬は存在せず,ワクチンの中長期的な効果もわかっておりません。この状況下で我々医療スタッフにできることは,感染予防策を徹底しつつ迅速なトリアージと検査体制で感染を早期発見すること,適切なコホーティングとゾーニングで感染拡大を最小限に食い止めることです。また,パンデミックにおいては,繰り返すサージと長期化から医療スタッフの疲弊が蓄積してゆき,医療崩壊が懸念されています。医療崩壊を防ぐためには,医療の質を担保しつつ長く維持できる体制作りと医療スタッフへの充分なサポートが重要なカギとなってきます。本特集では,過去のパンデミックの経験で学んだ教訓から,今,目の当たりにしているCOVID-19のパンデミックに対して,ICUで働く医療スタッフとして何ができるのかを考え,今後起こり得るパンデミックに対する備えを検討します。



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  • 「世界標準の集中治療を誰にでもわかりやすく」をコンセプトに、若手医師の育成や情報交換を目的として発足した「日本集中治療教育研究会」(Japanese Society of Education for Physicians and Trainees in Intensive Care=JSEPTIC)の活動をベースに、年4回発行。

  • 毎号1つのテーマを決め、最新のエビデンスに基づいて、現在わかっていること/わかっていないことを検証、徹底的に解説。施設ごとに異なる診療を見直し、これからの集中治療のスタンダードを提示する。

  • 重症患者の治療にあたる医師として最低限必要な知識を手中に収めるべく、テーマは集中治療にとどまらず、内科、呼吸器、救急、麻酔、循環器にまで及び、ジェネラリストとしてのインテンシヴィストを追求する。

  • 集中治療専門医、それを目指す若手医師をはじめ、専門ナース、臨床工学技士、さらには各科臨床医に対し、集中治療を体系的に語り、議論し、意見交換ができる共通の場(=アゴラ)を提供する。



 










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特定非営利法人 日本集中治療教育研究会


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¥5,060 税込
責任編集:牧野 淳(横須賀市⽴うわまち病院 集中治療部),林 淑朗(鉄蕉会 ⻲⽥総合病院 集中治療科),藤谷茂樹(聖マリアンナ医科大学 救急医学/東京ベイ・浦安市川医療センター)
ISBN
978-4-8157-2011-7
刊行年月
2021年7月
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はじめに:コロナとの共生に向けて,今我々ができることは何か
牧野 淳 東京都立墨東病院 集中治療科

総論
 1.COVID−19パンデミック:
 明らかになった課題,過去のパンデミックからの教訓,今後私たちが目指す社会とは?
  山本 太郎 長崎大学 熱帯医学研究所
 2.パンデミックにおける医療体制作り:現場レベルと地域医療圏,2つの視点で考える
  大内 謙二郎・三好 祐輔・土田 高裕・野浪 豪・建部 将夫 神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科・集中治療フェロー
  瀬尾 龍太郎 神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター
 3.パンデミックに対する感染対策:
 日常的に標準予防策に力を入れ,パンデミック時には感染経路別予防策を強化する
  坂本 史衣 聖路加国際病院 QIセンター感染管理室マネジャー
 4.パンデミックにおけるコホーティングとゾーニング:
 ガイドラインにのっとった当院での感染対策の実際
  金光 陽子・藤谷 茂樹 聖マリアンナ医科大学 救急医学
【コラム】自施設で経験したCOVID−19の院内クラスターと対応策:
 ヒエラルキー・コントロールの応用と実際の対策
  佐藤 健太郎・堤 健・斎藤 浩輝 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター
【コラム】遠隔医療,オンライン家族面会の活用:
 遠隔医療システムは日常的な使用が災害時に活きる
  神尾 直 湘南鎌倉総合病院 集中治療部
 5.パンデミックにおけるメンタルケア:
 医療従事者や患者・患者家族のメンタルヘルスを守る要点
  井出 恵子 横浜市立大学附属病院 精神科
  加藤 英明 横浜市立大学附属病院 感染制御部
  菱本 明豊 横浜市立大学医学部 精神医学教室
【コラム】終末期を含む看護ケア:患者・家族・医療者へのケアの工夫
  山﨑 さつき 聖マリアンナ医科大学 救急医学
  津田 泰伸 聖マリアンナ医科大学病院 看護部 救命救急センター
  藤谷 茂樹
 6.新興再興感染症:
 敗血症診療ガイドラインはどこまで重症の新興再興感染症に対応できるか?
  跡部 かおり 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター
  斎藤 浩輝
  藤谷 茂樹

各論:COVID−19パンデミック
 7.COVID−19の疫学と臨床像:明らかになってきたCOVID-19の姿
  忽那 賢志 国立国際医療研究センター 国際感染症センター
【コラム】COVID−19に対して空気感染予防策は必要か?:
 文献的考察でわかった予防策が必要なhigh risk場面はこれだ
  内倉 淑男 横須賀市立うわまち病院 総合診療科/横浜市立大学医学部 救急医学教室
  岡田 和也 東京都立墨東病院 集中治療科
【コラム】COVID−19とPICS:長期予後を見据えた治療戦略の一環としてのPICS予防
  鎌田 未来 東京ベイ・浦安市川医療センター 急性・重症患者看護専門看護師/ICU・CCU・SCU
  則末 泰博 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 集中治療部門/呼吸器内科
 8.COVID−19の病態生理:サイトカインストームと凝固機能障害を考える
  小谷 祐樹・林 淑朗 鉄蕉会亀田総合病院 集中治療科
 9.COVID−19の診断:COVID-19であっても診断の本質は変わらない
  伊藤 雄介 兵庫県立尼崎総合医療センター 小児救急集中治療科/小児感染症内科
  松尾 裕央 兵庫県立尼崎総合医療センター 感染症内科
10.COVID−19の薬物療法:抗ウイルス薬・抗炎症薬・抗凝固薬の現状
  藤井 元輝 鉄蕉会亀田総合病院 感染症科/集中治療科
  林 淑朗
11.COVID−19の酸素・呼吸療法:
 生理学とこれまでのエビデンスを適切に応用する
  片岡 惇 練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門
12.COVID−19のECMO:不適応基準の厳格化とネットワークの構築。
 『ECMO治療成績』の維持は『医療供給体制』の維持にかかっている
  萩原 祥弘・小倉 崇以 済生会宇都宮病院 救急・集中治療科/栃木県救命救急センター
13.COVID−19に関する世界のガイドライン:
 各国のガイドラインを比較し,違いを読み解く
  鈴木 秀鷹 武蔵野赤十字病院 救命救急科
  安田 英人 自治医科大学附属さいたま医療センター 救急科
14.COVID−19のワクチン:開発状況から,作用機序,有効性,副反応まで
  守屋 章成 名古屋検疫所 中部空港検疫所支所
15.座談会:withコロナとコロナ後の世界
  加藤 英明,坂本 史衣,瀬尾 龍太郎,林 淑朗,牧野 淳(司会)

連載
え?知らないの?心臓外科手術の術野デバイス 後編(脱血カニューレ)
〈シリーズ構成:森實 雅司 済生会横浜市東部病院 臨床工学部〉
  後藤 武 弘前大学医学部附属病院 臨床工学部
Lefor’s Cornor
第41回:Vascular Access and Hemodynamic Monitoring
 Part XXII:Pediatric Vascular Access─General Considerations
  Risa Hosomi Department of Nursing, Japan Red Cross Kyoto Daini Hospital
  Alan Kawarai Lefor Department of Surgery, Jichi Medical University
集中治療に関する最新厳選20論文
  田邊 翔太 松江赤十字病院 救急総合診療科
  吉田 英樹 聖マリアンナ医科大学 救急医学

脳科学を網羅する教科書

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エビデンスの先のベストプラクティスを描くクオータリー・マガジン。季刊/年4回発行

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