この一冊で全部位の画像がわかる!待望の全面改訂版
全身の画像診断を1冊で解説する本邦唯一のパワフルガイド、8年ぶりの全面改訂。ジェネラリストとして知っておくべき疾患の病態生理や病理の知識を踏まえて、それに対する画像診断を解説する基本コンセプトを継承。各章で鑑別診断(診断アプローチ)の考え方をまとめた頁も新設。タイトル項目の疾患には3段階の難易度レベルを示し、読者がレベルに合わせて学習できるように配慮。タイトル疾患数は381→406に増量、PoweUp欄で関連疾患をできる限り補強し、大幅にボリュームアップ!
目次 (カッコ内はタイトル項目の疾患数)
Ⅰ 脳神経(80)
Ⅱ 頭頸部(25)
Ⅲ 脊椎・脊髄(27)
Ⅳ 胸部(63)
Ⅴ 心血管(17)
Ⅵ 消化管(26)
Ⅶ 肝胆膵(44)
Ⅷ 泌尿器(33)
Ⅸ 女性生殖器(19)
Ⅹ 骨軟部(55)
Ⅺ 乳腺(5)
Ⅻ 多臓器疾患(12)
計406疾患
● 関連疾患についてはPowerUpで,できるかぎり補強.
● 各章ごと,主に冒頭で,画像解剖のポイントも解説.
『ジェネラリストを目指す人のため画像診断パワフルガイド』の初版が刊行されたのは2014年である.初版の序でも述べているが,全身をみる画像診断を目指して本を執筆した.比較的高いレベル-診断専門医レベルで全身の画像診断を網羅した本はこれまでほとんどなかったためか,お陰様で好評を博し,増刷を重ねることができた.初版の特徴として画像診断の細かな所見を羅列するのではなく,重要な疾患の病態生理や病理を簡潔に紹介し,それに対して最新の画像診断を紹介したことである.やはり画像診断においても病態・病理の理解が最も重要であり,それを踏まえることで画像も自ずと理解できるという基本コンセプトだった.
初版の出版後,8年が経ち,病態の解明が大きく進んだ.特に遺伝子レベルでの知見が著しく増加した.疾患の分類も大きく変更され,新たな疾患概念が導入されたものもある.画像診断領域でもそれに対応してさまざまな多くの知見が蓄積されている.
一方,私自身は熊本大学を退職し,放射線科医としてのキャリアも40年を超えた.この間,画像診断はCTやMRIを中心に大きく進歩し,その進歩と平行してキャリアを重ねることができたことは本当に幸せだったと思っている.もう一つの財産はそのようなCT,MRIの画像データがデジタルデータとしていつでも見れる状態で画像サーバーに保存され,かつ診断レポートや臨床情報とともに残っていることである.私自身,熊本大学在職中はできるだけ多くの画像に接することに心がけ,デジタルのティーチングファイルを作ってきたが,この本の執筆に当たっては大いに活用することができた.
今回の改訂に当たっては新しい臨床知見をできるだけ取り込み,画像診断のジェネラリストとして必要と思われるできるだけ多くの疾患を取り上げた.その結果,ページ数も大幅に増加し,900ページに近づく大冊となってしまった.前版同様,各疾患においてA,B,Cの記号が付されているが,Aは医学生,初期研修医にも必須の基本的疾患,Bは概ね専門医に最低限必要な疾患,Cはできれば専門医であればこのくらいまではカバーしていただきたいやや難しい疾患ということで分類している.
全身の領域で医学の進歩を筆者一人で網羅するのはとても大変であり,限界を感じつつも何とか完成にこぎ着けることができた.ある意味,本書は筆者の放射線診断医としての集大成と考えている.多くの画像診断の専門医や画像診断に関心を持っていただける方に,かなり重くなったが,手に取っていただけたら幸いである.
最後に再びこの書籍の出版に携わり,筆者のライフワークを実現していただいた正路 修氏に心より御礼を申し上げる.
2022年8月
山下康行
2022-09-29
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
44ページ 病態・病理の本文,上から1〜2行目.
(誤)● 頭部の剪断変形に起因する脳白質に起こる障害(shearing injury).回転に伴う構造間のずれのため,神経線維や軸索が断裂する.
(正)●脳の慣性力に伴う回転において,大脳皮質と白質,神経線維の密度の異なる脳梁では回転力が異なり,軸索が引き延ばされ,神経線維や軸索が断裂する(stretch injury).
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484ページ 図12 膵の発生の説明文,はじめのセンテンス.
(誤)腹側膵は総胆管とともに十二指腸の後方を回って.腹側膵と背側膵に融合する.
(正) 腹側膵は総胆管とともに十二指腸の後方を回って.背側膵に融合する.