特集:脳梗塞
治療機会を逃さないための必須アップデート
脳梗塞を的確に疑うことができますか?
そして…脳梗塞と診断したのち,血栓溶解療法や血栓回収療法の適応を判断することができますか?
病型に応じた適切な急性期治療を行うことができますか? 脳梗塞は,初発・再発を合わせると,年間約20万人が発症すると推計されるコモンディジーズです。2017年の本誌「神経内科」特集の一部で虚血性脳卒中を扱ってから5年を迎えましたが,このたった5年間で,脳梗塞診療は大きく変化しました。特に,劇的な効果が期待される血栓溶解療法や血栓回収療法の適応拡大が与えるインパクトは大きく,もし知識がアップデートされていなければ,せっかくの治療機会を逃してしまうかもしれません。
今回は以下のとおり,解剖学的解説をしたのち,診断,超急性期,急性期,慢性期と,実際の診療の流れに沿って,全体像がみえるように章立てをしました。次いで,循環器科,リハビリテーション科といった診療科との連携に光を当て,てんかん,若年性脳梗塞,COVID-19に合併した脳梗塞についても盛り込みました。コラムでは,脳梗塞の初期評価で頻用されるNIHSSのほか,点滴薬のエビデンス,院内発症脳梗塞を取り上げました。
本特集は,ホスピタリストが脳梗塞患者を前にしたときに直面するであろう臨床的疑問を広く押さえ,判断を下すための理解を深められるようになっています。脳梗塞の教科書は世のなかに多数ありますが,ホスピタリストのニーズを1冊で満たしてくれるのは本書のみといってよいでしょう。
本屋で立ち読みしている方はそのままレジへ,ネットでこの文章を読んでいる方はそのまま購入ボタンを押してください。明日からの診療にきっと大きく役に立つはずです!
井口 正寛
はじめに|脳梗塞を的確に疑うことができますか?:治療機会を逃さないための必須アップデート
井口 正寛 福島県立医科大学 脳神経内科
1. 脳梗塞を理解するのに役立つ血管解剖学:すぐに内科診療に活かせるものに絞って
松原 知康 広島大学大学院医系科学研究科 脳神経内科学
2. 脳梗塞の診断:急性期における迅速・適切な鑑別と病型診断のためのオーバービュー
中森 正博 広島大学大学院医系科学研究科 脳神経内科学
[コラム①]NIHSS:発症初期に重症度を的確に把握できる,国際的に標準化されたスケール
時村 瞭 東京大学医学部 神経内科学
井口 正寛
3. 脳梗塞の超急性期治療:発症時刻から考える治療選択を,症例から学んでアップデートしよう
小島 隆生 福島県立医科大学 脳神経外科
4. 脳梗塞の急性期治療:薬剤選択のほか,適切なマネジメントのための知識のアップデート
星野 岳郎 東京女子医科大学 脳神経内科
[コラム②]オザグレル,アルガトロバン,エダラボン:そのエビデンスはどうか
南郷 栄秀 社会福祉法人聖母会 聖母病院 総合診療科
5. 脳梗塞の慢性期治療:抗血栓薬による加療とリスク因子の管理のエビデンスを中心に
志賀 裕二 翠清会梶川病院 脳神経内科
6. 脳梗塞診療におけるブレインハートチーム:チームで取り組む卵円孔開存(PFO)症例と関連トピックス
國井 浩行 大原綜合病院 循環器内科
7. 脳梗塞のリハビリテーション療法:生活機能と障害に目を向けた多角的アプローチが求められる
水野 聡子 東京女子医科大学病院 リハビリテーション科
8. 脳梗塞とてんかん:あらゆるフェーズでの対応,中長期的な視点が求められる
音成 秀一郎 広島大学大学院医系科学研究科 脳神経内科学/広島大学病院 てんかんセンター
9. 若年性脳梗塞:虚血性脳卒中とは異なる危険因子と多岐にわたる病因
丸山 健二 戸田中央総合病院 脳神経内科
10. COVID-19と脳卒中:過凝固に起因する血栓症が予後を大きく左右する
深尾 絵里 公立昭和病院 脳神経内科
[コラム③]院内発症脳梗塞:治療開始遅延の現状と対策
原瀬 翔平 亀田総合病院 脳神経内科
白石 淳 亀田総合病院 救命救急科
【連載】
Clinical Update 拡大版①
官澤 洋平・石丸 直人 愛仁会明石医療センター 総合内科
35号「身体診察」Special Article
身体診察と「車の両輪」の病歴聴取:問診力も型にして習得!
北野 夕佳 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター
病棟医療革命
第4回①HITO病院編|HITO総診×DX:すべては現場のために,何よりも不安を抱える患者のために
五十野 博基 HITO病院 総合診療科
第4回②豊田地域医療センター編|telemedicine×豊田地域医療センター:診療における革命を地に足のついたものとしていく
溝江 篤 藤田医科大学 総合診療プログラム/豊田地域医療センター 総合診療科
Clinical Update 拡大版②
官澤 洋平・石丸 直人