特集:予防
ICU患者はさまざまな生理学的異常を呈し,多くの侵襲的介入を受けています。それゆえに原疾患とは異なる合併症が現れることもまれではありません。ICUにおける予防はこれらの合併症を防ぐことを目的としていますが,不適切もしくは過剰な予防は合併症を増加させてしまう危険性も孕んでいます。 「対象を適切に判断し,有効な予防策で合併症を減らす」ことは,集中治療における重要な歯車の1つであることは間違いありません。しかしながら,ICUにおける予防について総括した書籍は多くありません。本特集は,ICUにおいて一般的に実施されている予防に焦点をあて,診療にかかわる読者の「手引き書」になることを目指しています。
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1.はじめに:神は細部に宿る
田邊 翔太 松江赤十字病院 救急部
中島 幹男 東京都立広尾病院 救命救急センター
2.ストレス潰瘍予防:適切にリスクを評価し,常に中止を検討する
松本 慶太・宇賀田 圭 松江赤十字病院 集中治療科
田邊 翔太
3.静脈血栓塞栓症予防:患者に応じた予防法を適応する
畑中 康人 東京都立墨東病院 救命救急センター
岡田 和也 東京都立墨東病院 集中治療科
4.人工呼吸器関連肺炎予防:これまでとこれからの常識
吉田 陽・伊藤 雄介 兵庫県立尼崎総合医療センター 小児救急集中治療科
5.譫妄予防:譫妄予防のために我々にできることは何か?
新里 祐太朗・安田 英人 自治医科大学附属さいたま医療センター 救急科
6.カテーテル関連血流感染症予防:バンドルアプローチのその先へ
前澤 俊憲・櫻谷 正明 JA広島総合病院 救急・集中治療科
7.カテーテル関連尿路感染症予防:エビデンスをいかに実践に生かすか
福田 俊輔・安宅 一晃 奈良県総合医療センター 救急・集中治療センター
8.手術部位感染症予防:ガイドラインの推奨とエビデンスを読み解く
髙橋 翼・鷲頭 栞 鉄蕉会亀田総合病院 集中治療科/高度臨床専門職センター 診療看護師
林 淑朗 鉄蕉会亀田総合病院 集中治療科
9.予防的抗菌薬:急性膵炎・脾摘後・誤嚥後における感染症予防
川本 雄也・植西 憲達 藤田医科大学 救急総合内科
10.褥瘡予防:患者の入室直後から褥瘡発生リスクを念頭に,褥瘡予防ケアを実践する
松原 康美 北里大学 看護学部
11.急性脳損傷の発作予防:予防的抗発作薬のエビデンスは限られる
中泉 貴之 浦添総合病院 救急集中治療部
【コラム1】破傷風予防:ワクチンの追加接種で積極的な予防対策を
三輪 槙,中島 幹男 東京都立広尾病院 救命救急センター
【コラム2】口腔ケア:口腔ケアはVAPを予防できるのか?
卯野木 健 札幌市立大学看護学部看護学科 成人看護学急性期領域
山北 紗静 札幌市立大学大学院看護学研究科博士前期課程 急性期領域
【コラム3】腸管管理:便秘や下痢は予防すべきか?
山本 良平 京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 医療疫学分野
【コラム4】心停止蘇生後患者のシバリング予防:シバリングの評価と適切な介入
神部 茉由・中川 俊 TMGあさか医療センター 神経集中治療部
連載
■最新エビデンスを読む
第6回:心停止蘇生後管理に関する新しいエビデンス
小中 理大・片岡 惇 練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門
■Lefor’s Corner
第47回:Vascular Access and Hemodynamic Monitoring
Part XXVIII:The history of right heart catheterization and the pulmonary artery catheter
Shinichiro Kondo Shizuoka General Hospital
Alan Kawarai Lefor Chiba Nishi General Hospital/Department of Surgery, Jichi Medical University
■集中治療に関する最新厳選20論文
田邊 翔太 松江赤十字病院 救急部
吉田 英樹 聖マリアンナ医科大学 救急医学
2023-01-31
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
p.164 図1のキャプション
(誤)上から,periodic discharges(PD),rhythmic delta activity(RDA),rhythmic spike and wave(SW)
(正)上から,periodic discharges(PD),rhythmic spike and wave(SW),rhythmic delta activity(RDA)