その症状はこう読み解く!臨床に役立つ神経解剖のツボ

このツボ neurophobia(神経嫌い)に効きます

頭痛 めまい しびれ ふらつき…をわりとよく診る

     でもちょっと苦手

     そんなあなたに「ちょうどいい」




コモンな神経疾患/神経症状の診療に苦手意識をもつ研修医、臨床医に贈る実地テキスト。前半ではシェーマとコンパクトな説明文による臨床に役立つ神経解剖を解説。後半では厳選された25 症例を提示し、前半で得た知識にもとづいた神経疾患/神経症状の診察法とその考え方が身につく。初学者にも分かりやすいように要点を系統的に学んでいく体裁をとりつつ、臨床に役立つ部分は適切に掘り下げ解説。神経局在診断のカギを提示し、「neurophobia(神経嫌い)」を払拭する書。



電子版はこちら(医書JP)

¥5,720 税込
原著タイトル
Case Closed! Neuroanatomy
監訳:上田剛士(洛和会丸太町病院救急・総合診療科部長)
ISBN
978-4-8157-3063-5
判型/ページ数/図・写真
B5変 頁352 図147 2色刷
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Part 1  概論編
Chapter 1 神経系入門
1 神経系の区分
2 神経細胞(ニューロン)の解剖
3 中枢神経系の概観
4 末梢神経系の概要
5 中枢神経系の長経路
6 中枢神経系の体部位局在
7 中枢神経系の動脈供給
8 髄膜
9 自律神経系の概観
Chapter 2 皮質と関連構造
1 皮質の特定領域
2 基底核と関連構造
3 視床の神経核
4 内包
5 運動路
6 感覚路
7 言語回路
8 失語
9 優位半球の高次機能
10 劣位半球の高次機能
11 小脳と失調
12 前方循環系
13 後方循環系
14 脳血管の支配領域
15 頭部の静脈排出路
Chapter 3 脳神経と脳幹
1 脳神経系の概観
2 脳幹から出ていく脳神経系
3 脳神経系の副交感神経成分
4 視覚路
5 視野欠損
6 瞳孔径の交感神経および副交感神経による調節
7 外眼筋
8 眼球運動
9 内側縦束
10 顔面感覚と咀嚼筋 中脳路核(中脳)
11 海綿静脈洞
12 第VII脳神経と顔面神経麻痺の種類
13 第VIII脳神経と第IX脳神経の機能
14 迷走神経の多彩な機能
15 頸部と舌への運動神経支配
16 脳神経の頭蓋底からの出口
17 4のルール
18 延髄の血管支配
19 橋の血管支配
20 中脳の血管支配
Chapter 4 脊髄
1 脊柱
2 脊髄の解剖
3 脊髄解剖の局所的変化
4 脊髄における感覚路
5 脊髄の体部位局在
6 伸張反射
7 上位および下位運動ニューロン病変
8 上位運動ニューロン病変の特徴
9 脊髄への動脈支配
10 脊髄障害へのアプローチ
Chapter 5 末梢神経系
1 末梢神経系における病変の種類
2 腕神経叢
3 腕神経叢の描き方
4 感覚支配とよくみる反射
5 主要なミオトーム
6 腋窩神経(C5,C6)と筋皮神経(C5,C6,C7)
7 橈骨神経(C5‒T1)
8 尺骨神経(C8,T1)
9 正中神経(C5‒T1)
10 腰仙神経叢の描き方
11 股関節の神経と筋肉
12 膝関節の神経と筋肉
13 足関節の神経と筋肉:その1
14 足関節の神経と筋肉:その2
15 末梢神経系の感覚支配図
16 末梢神経系のまとめ
Chapter 6 局在診断入門
1 局在診断アルゴリズム
2 スクリーニング神経診察における筋肉の評価
3 筋肉の一覧
4 局在診断のカギ

Part 2  症例編
 症例 1 わけのわからないことだけを喋る72歳女性
 症例 2 両足がおかしいと訴える79歳男性
 症例 3 瀕死状態の21歳男性
 症例 4 うまく喋ることができない71歳男性
 症例 5 たくさん飲みすぎた20歳の実弟
 症例 6 自分では何も問題のない34歳女性
 症例 7 倒れた26歳の女性
 症例 8 瞳孔が散大している61歳女性
 症例 9 日焼けを感じない39歳女性
 症例 10 手根管症候群があると訴える49歳男性
 症例 11 一過性脳虚血発作の既往歴がある68歳男性
 症例 12 痙攣を起こした55歳男性
 症例 13 61歳の男性と心強い妻
 症例 14 左眼が見えない39歳女性
 症例 15 右足で躓き続ける46歳女性
 症例 16 キックボクシングをしていた42歳女性
 症例 17 ものが二重に見える31歳女性
 症例 18 自尊心の強い32歳男性
 症例 19 石のような59歳女性
 症例 20 1つのことだけを訴える19歳女性
 症例 21 右手に灼熱感がある62歳女性
 症例 22 遠方の病院から搬送されてきた21歳男性
 症例 23 意識を失った17歳のクォーターバック
 症例 24 指がピリピリする51歳男性
 症例 25 読むことができない59歳男性

はじめに
神経解剖の教科書は典型的に2つのグループに分けられる。より伝統的な教科書は通常,1,000ページを超え,この既に難しいテーマの難解で細かい部分をすべてカバーしている。
その対極にあるのが薄い教科書で,多くは150ページ以下で簡潔に内容をまとめており,学生の復習には役立つかもしれないが,実際に神経解剖を教えてはくれない。この両者は特に勉強を始めたばかりの学生には役に立たない。確かに,これまで神経解剖の初学者に
向けた明快な教科書はなかった。当然フラストレーションがたまり,多くの学生はこの分野を敬遠してしまう。
この現象は医学生を対象とした3つの国際的な研究で“神経恐怖症(neurophobia)”と呼ばれた。恐れる必要はない。ここで本書の出番となる。学生にとって,膨大な量の学術書を何ページも読み漁り,読んでいる内容が適切かどうかを判断するような非効率的なことができないのはわかっている。反対に,短い復習テキストによる大雑把な記憶では,局在診断のアートの理解は不十分になってしまう。局在診断は神経解剖の教科書が教えてくれる技術であり,神経系において機能障害がどこにあるかを決定することができる。本書のChapter 1 ~ 5で,神経系のレベルに応じた神経解剖の核となる基礎事項,つまり,皮質,脳幹,脊髄,そして最後に末梢神経系を提示していく。
何百もの言葉より,整理された簡潔な図に価値がある。それぞれの図と一緒に,ページ全体にわたる解説をつけた。キーポイントは“Take Home Message”に要約した。Chapter6では,どのように局在診断を行うかを説明し,また局在診断のカギを提示している。こ
れは精通しておくべきすべての典型的な局在診断に関して素早く参照できるように作成してある。最後にChapter 7では,局在診断を練習し,そのアートを習得するために25の症例を提示した。
それぞれの症例は詳しい段階的な解決方法とクリニカルパールによって補完されており,実際の臨床的なポイントについて症例の補足をしている。本書には皆さんに必要なすべてがあり,不要なものはない。“神経恐怖”が存在するのは学習者の熱意がないからではない。指導者の我慢が足りないからである。本書が解決策になることを願っている。
2016年2月
Warren Berger
John Berger

もし,この監訳の言葉を眼にしているのが,神経内科専門医ではないが,神経解剖に興味がある/勉強する必要性に迫られている人であったならば,“アタリ”である。
実は本書の監訳の打診を最初にされた時には,依頼をお断りした。神経解剖学の類書は山ほどあり,今更新たな洋書を翻訳する気にはならなかったからである。しかし,その後,本屋に行っていくつかの神経解剖学の書籍を手にとり,家に帰ってから本書の内容と見比
べて考えを改めた。本書が日本語に翻訳されれば,多くの人々に役立つものになるに違いないと。
もっと詳しい成書はある。しかし,非専門医にその分厚い成書を紐解くことを強いれば,神経解剖学アレルギーを引き起こしてしまうに違いない。非常に簡潔な書籍もある。しかしそれは直ぐに物足りなくなり本棚の肥やしとなるばかりか,不十分な知識だけでは貴方
をピットフォールに陥ることから救ってはくれないだろう。この書籍の魅力の一つは“ちょうどよい”記載量である。
当然,適切な分量だけでは満足できる書籍には仕上がらない。質も重要,いや質こそ重要である。ではどのように質を定めるのであろうか? さまざまな観点があるかもしれないが,本書で優れているのは“臨床に役立つ”かどうかである。
初学者にも分かりやすいように基本ルールから系統的に学んでいく体裁をとってはいるが,臨床に役立つ部分は適切に掘り下げているのが本書の特徴である。例えば「末梢神経障害であると考え整形外科に紹介をしたら脳卒中であった」というのは非常に望ましくない状況である。そのような過ちが起こらないように,末梢神経障害と中枢神経障害の鑑別のために必要な神経解剖学については特に詳細に,どの筋力に注目して評価すべきかなどを具体的に解説している。
本書では入門書では敬遠されがちな腕神経叢と腰仙骨神経叢についての記述も忘れてはいない。これ一冊で末梢神経から大脳皮質まですべてのレベルの障害を学ぶことができる。
一般内科医,救急医,同僚と差を付けたい医学生や理学療法士に十分な内容であるばかりか,駆け出しの神経内科医や整形外科医にも役立つ一冊と言えよう。
本書の監訳にあたって「前言撤回で,これはやはり優れた書籍であり,日本語に翻訳すべきです」という私の言葉に振り回されながらも翻訳の許可申請を再度してくれた株式会社メディカル・サイエンス・インターナショナルと,用語に一貫性を持たせるため一人で全訳に挑んでくれた丸山医師にこの場を借りて感謝を申し上げたい。
2022年12月吉日
上田剛士

『臨床に役立つ神経解剖のツボ その症状は,こう読み解く!』( 原題:“Case Closed!Neuroanatomy”)は英国のBerger医師らによる著作です。
はじめてこの本を手にした時,おふたりとも臨床現場で働いておられる神経内科医だと思っていたのですが,Webで見つけたインタビュー記事を読むとWarren 先生が医学部を卒業後に神経内科医となり,John先生は心理学を専攻された後に研究に従事されているということがわかりました。
神経系を専門とする著者らによって執筆された本書には「臨床に効くツボ」を押さえた神経解剖学が,豊富なイラストレーションと共に収められています。Part 1では神経系の概観や神経細胞の基礎的な解説から始まり,脳,脊髄,神経根・神経叢,末梢神経といった
個々の神経解剖学的構造の解説へとstep by stepで進んでいきます。またPart 1の終わりには,まとめとして局在診断をつけるための型が提示されています。「困難は分割せよ」という言葉の通り,一つ一つの学習項目が適切に押さえられているため,広大な領域を分かりやすく学ぶことが出来る構成となっています。
そしてPart 1で学んだ内容を臨床で役立てることが出来るように,Part 2では多様な神経疾患が症例形式で解説されています。症例は内科外来あるいは救急外来で出会う神経疾患として極めて重要なものが取り上げられています。全体を通して重要なポイントが繰り返し出てくるため,初学者の方や神経解剖学に苦手意識がある方も読み進めていくうちに内容が自然と身についていくこと間違いなしです。
原題の“Case Closed!”には事件解決や一件落着という意味があり,「見た目は子供,頭脳は大人」のフレーズで有名な国民的マンガの英語版タイトルにもなっています。本書が真の病巣を突き止める皆様の助けになれば,この本に携わる機会を得た者として嬉しく思い
ます。
最後になりましたが,サポートして頂いた水野資子氏をはじめとする株式会社メディカル・サイエンス・インターナショナルの皆様,そして監訳をして頂いた上田先生に深く感謝申し上げます。
2022年12月吉日
丸山 尊

2023-08-28

【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。

59ページ,15行目
(誤)2 つ目は,第II,III,VI,XII脳神経はきわめて内側にあり,その 他はきわめて外側にあるということだ。

(正)上記の文末に下記の訳注が入る
「実際には第IV脳神経は脳幹背側の内側から出ているが(図3.2下),腹側から観察すると脳幹の外側から出ていくように見える(図3.2上)ため,このような記載がされている。」

2023-05-23

【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。

12頁 図1.5 左下 図中の線色説明
(誤)
(緑)下位運動ニューロン
(灰色)上位運動ニューロン

(正)
(緑)上位運動ニューロン
(灰色)下位運動ニューロン

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