スポーツと運動のバイオメカニクス

 



世界的なベストセラー「マクギニス」日本語版、ついに登場!

世界各国で翻訳されているスポーツバイオメカニクスの定番テキスト、初の邦訳。機能解剖や運動の理解の前提となる力学や物理学の基礎を、数学/物理学嫌いでもしっかり理解してもらうことを意図したユニークな構成。イラストは豊富に掲載され、オールカラーで読みやすい。自身で簡単に学習内容を体感できる「自己実験」や理論・原理の具体的な活用例を紹介する「概念の応用」を適宜配置し、臨場感を持って学べる。当該領域を体系的に学びたい専門家・非専門家双方に役立つ書。

¥9,350 税込
原著タイトル
Biomechanics of Sport and Exercise, 4th Edition
監訳:柳谷登志雄(順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科先任准教授)・川本竜史(大東文化大学スポーツ・健康科学部教授)・長野明紀(立命館大学スポーツ健康科学部教授)・谷川 聡(筑波大学人間総合科学学術院准教授)・広瀬統一(早稲田大学スポーツ科学学術院教授)
ISBN
978-4-8157-3064-2
判型/ページ数/図・写真
B5変 頁480 図245 4色
刊行年月
2023年3月
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序章 なぜバイオメカニクスを学ぶのか?
バイオメカニクスとは何か? /スポーツとエクササイズのバイオメカニクスの目標は何か? /スポーツバイオメカニクスの歴史/力学の構成/力学で用いられる計測の基本的サイズと単位/まとめ  

PartⅠ 外的バイオメカニクス
―外力と,それらが身体とその動作に及ぼす影響
第1章 力
―平衡の維持あるいは動きの変化
力とは何か?/力の分類/摩擦/力の追加:力の合成/力の分解/静的平衡/まとめ  
第2章 並進運動学
―並進運動する物体の記述
運動/並進運動学/一様加速度と投射運動/まとめ
第3章 並進運動力学
―並進運動の原因を説明する
ニュートンの運動の第1法則:慣性の法則/運動量保存の原理/ニュートンの運動の第2法則:加速度の法則/力積と運動量/ニュートンの運動の第3法則:作用- 反作用の法則  /ニュートンの万有引力の法則/まとめ  
第4章 仕事, パワー, エネルギー
―ニュートンを用いずに運動の原因を説明する
仕事/エネルギー/仕事-エネルギー定理/パワー/まとめ
第5章 トルクと力のモーメント
―平衡の維持または回転運動の変化
トルクとは何か?/平衡状態における力とトルク/重心とは何か?/まとめ
第6章 回転運動学
―物体の回転運動の記述
角度位置と角度変位/角度変位および並進変位/角速度/角速度および並進速度/角加速度/角加速度と並進加速度/四肢の運動を記述するための解剖学的システム/まとめ  

第7章 回転運動力学
―回転運動の原因を説明する
回転慣性(角慣性)/角運動量/ニュートンの運動の第1法則の回転運動学的解釈/ニュートンの運動の第2法則の回転運動学的解釈/角力積と角運動量/ニュートンの運動の第3法則の回転運動学的解釈/まとめ

第8章 流体力学
―水と空気の影響
浮力:浸漬による力/動的な流体からの力:相対運動による力/まとめ

PartⅡ 内的バイオメカニクス
―内力と,それらが身体とその動作に及ぼす影響

第9章 生体組織の力学
―身体に作用する応力とひずみ
応力/ひずみ/材料の力学的特性:応力- ひずみ関係/筋骨格系の力学的特性/まとめ

第10章 骨格系
ー身体の剛体構造
骨/関節/まとめ

第11章 筋系
―身体のモーター
骨格筋の構造/筋活動/筋の収縮力/まとめ

第12章 神経系
―筋骨格系の制御
神経系とニューロン/運動単位/受容器と反射/まとめ

PartⅢ バイオメカニクスの原理の応用

第13章 定性的バイオメカニクス分析による技術の向上
バイオメカニクス分析の種類/定性的バイオメカニクス分析の手順/サンプル分析/まとめ  

第14章 定性的バイオメカニクス分析によるトレーニングの改善
バイオメカニクスとトレーニング/解剖学的定性的分析の方法/サンプル分析/まとめ
 
第15章 傷害発生を理解するための定性的バイオメカニクス分析
力学的な応力と傷害/応力に対する組織の反応/オーバーユース障害のメカニズム/組織の閾値の個人差/傷害発生に影響する内的および外的要因/分析例:ランニングによって発生するオーバーユース障害/まとめ

第16章 バイオメカニクスのテクノロジー定量的バイオメカニクス分析
測定上の問題点/バイオメカニクス変数を測定するためのツール/まとめ

本書『スポーツと運動のバイオメカニクス』の原書である“Biomechanics of Sport and Exercise”はPeter M. McGinnis 先生により執筆され,この日本語版の出版時点で第4 版まで出版されています。原書初版は1999 年に刊行され,これまで英語のほかにマケドニア語,ポーランド語,ポルトガル語,中国語,ギリシャ語に翻訳され,世界6 か国語で,スポーツバイオメカニクスの初学者からスポーツ科学者まで,多くの方々の手に取られています。
 本書の特徴は,まずパートⅠの「外的バイオメカニクス」において,力学の基礎的な知識を,身体運動を中心とした例を挙げて文系出身の学生でも理解できるレベルでていねいに説明し,続くパートⅡ「内的バイオメカニクス」において,身体運動を筋骨格系や神経系の領域から説明し,最後のパートⅢ「バイオメカニクスの原理の応用」において,スポーツ技術の応用や傷害(外傷・障害)発生の理解,テクノロジーへの応用について説明している点にあります。
 バイオメカニクス,特にスポーツバイオメカニクスに関する書籍はほかにもいくつかありますが,力学の理論や公式の解説に詳しい書籍はスポーツへの応用に関する情報が足らず,逆にスポーツの動作やパフォーマンスの解析に詳しい書籍や各種目のバイオメカニクス研究の成果を紹介する書籍では,力学的な計算方法や計算過程に関する記述や解説が不十分であったりします。
 スポーツバイオメカニクスを学ぼうとする学生の多くは,競技力向上を追求してここにたどり着くことが多いのではないでしょうか。しかしながら,その多くが文系出身であり,数学や力学は得意ではなく,バイオメカニクスを学ぶことに苦手意識を感じているのではないかと思います。本書はそのような方々でも比較的学習しやすい構成と内容となっていると感じます。
 日本語版監訳者の4 名はほぼ同じ年齢であり,偶然にも1992 年に大学に進学した同世代のスポーツ科学研究者です。私達が大学生や大学院生として学んだ時代には,バイオメカニクス,とりわけスポーツバイオメカニクスに関しては,初学者が日本語で学べるようなバイオメカニクスの入門書的な書物はほとんどなく,私達は英文で書かれた原書を頼りに知識を蓄えた記憶があります。その後,四半世紀の間に,多くの先達の尽力により日本語の教科書的な書物がいくつも出版されましたが,本書がそれらと並ぶテキストとして学習を志す方々の助力になり,スポーツ科学のさらなる発展に繋がれば幸いです。
2023 年2 月
監訳者を代表して
柳谷 登志雄

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