『ベイツ診察法』のポケット版,大幅増頁・増強でより使いやすく,効果的に!
身体診察と医療面接のスタンダードを示す、世界最高峰の指南書『ベイツ診察法』で解説した知識を凝縮したポケット版、8年ぶりの改訂。20章から27章に増え頁数も大幅アップ、親本にはない「診断アルゴリズム」45点を各章末に新規掲載。内容を大胆に補完・刷新。実践の場でも、どこでも参照、役立てることができる備忘録としてより充実した内容をお届けします。
~聴かせてください。ベイツに対する先生の思い~
■解説:山内豊明先生(動画・音声あり)
(医師/看護師/保健師,米国登録看護師/米国診療看護師)
Ⅰ.健康アセスメントの基礎
第 1 章 診察へのアプローチ
第 2 章 面接,コミュニケーション,対人関係スキル
第 3 章 病歴
第 4 章 身体診察
第 5 章 臨床推論,アセスメント,計画
第 6 章 健康維持とスクリーニング
第 7 章 エビデンスの評価
Ⅱ.部位別の診察
第 8 章 全身の観察,バイタルサイン,疼痛
第 9 章 認知,行動,精神状態
第 10 章 皮膚,毛髪,爪
第 11 章 頭部と頸部
第 12 章 眼
第 13 章 耳と鼻
第 14 章 咽喉と口腔
第 15 章 胸郭と肺
第 16 章 心血管系
第 17 章 末梢血管系とリンパ系
第 18 章 乳房と腋窩
第 19 章 腹部
第 20 章 男性生殖器
第 21 章 女性生殖器
第 22 章 肛門,直腸,前立腺
第 23 章 筋骨格系
第 24 章 神経系
Ⅲ.特定の集団の診察
第 25 章 小児:新生児から青年期まで
第 26 章 妊娠女性
第 27 章 老年
索引
本書は『ベイツ診察法』の携帯版である。『ベイツ診察法』は米国で最も信頼されているフィジカルアセスメントの世界的ベストセラーであり,その歴史は 1974 年にはじまり,Pocket Guide は 1991 年から刊行されている。
わが国では『ベイツ診察法ポケットガイド(Batesʼ Pocket Guide to Physical Examination and History Taking)』(原著第 3 版)が親本に先行して 2002 年に初めて翻訳出版され,親本である『Batesʼ Guide to Physical Examination and History Taking』(原著第 9 版)が『ベイツ診察法』として 2008 年に初めて邦訳された。
この度,親本の第 13 版への改版とポケット版の第 9 版への改版を機に両者の邦訳の同時改版を行った。そのためポケット版としては『ベイツ診察法ポケットガイド第 4 版』(原著第 9 版)であるが,親本である『ベイツ診察法第 3 版』(原著第 13 版)と対応し,さらに今回からこのポケット版には親本にはない「診断アルゴリズム」が領域別各章に追記されている。
そもそもポケット版は,あくまで既に学習した内容を思い出すための手掛かりとして用いるために作られている。そのため,本ポケット版自体を,いわゆる教科書として学習過程の基本書のように用いるべきではない。
端的なまとめとして「箇条書き」や「表」,「アルゴリズム」を用いることは便利ではある。しかし,その背景や文脈を正しく理解していないままの利用は誤解を招く。「イレウスでしたが金属音がしませんでした。おかしいです!」という訴えを聞いたことがあるが,そもそもイレウスで金属音がしないことは何もおかしなことではない。しかしこれは「イレウス=金属音」とただ機械的に覚えていたことが誤解の原因であろう。
本書と親本を関連づけて学習することで,ポケット版では記しきれなかった身体の構造や機能についての背景知識を深め正しい理解に繋げるとともに,親本のエキスを本書でつかむことによって現場での実践力を高めていくこととなるに違いない。
さらには,米国とは異なる日本の医療場面ならではの事情や常に変化していく最新情報などについても,本書に関連づけて書き加えていくことにより,personalized した自分自身の my pocket guide を創り上げてもらうことができれば望外の喜びである。
監修者を代表して
山内豊明