医学書・医学雑誌専門出版社

Part I　非外傷性疾患
Section 1　腹部
Section 1.1　上腹部痛/心窩部痛
症例1　急性胆石胆囊炎
症例2　肝細胞腺腫の破裂
症例3　急性胆石性膵炎
症例4　腹腔鏡下胆囊摘出術後の胆汁漏
症例5　脾梗塞
症例6　十二指腸潰瘍穿孔
Section 1.2　側腹部痛
症例7　尿管膀胱移行部の結石嵌頓
症例8　後腹膜血腫
症例9　出血を合併した腎血管筋脂肪腫
Section 1.3　下腹部痛
症例10　急性虫垂炎
症例11　Crohn病
症例12　偽膜性腸炎
症例13　膿瘍を合併した憩室炎
症例14　Meckel 憩室炎
症例15　腹膜垂炎
Section 1.4　その他の腹痛
症例16　小腸閉塞
症例17　Roux‒Y 胃バイパス術後の内ヘルニア
症例18　Winslow 孔ヘルニア
症例19　閉鎖孔ヘルニア
症例20　盲腸軸捻転
症例21　ベバシズマブ投与による腸管穿孔
症例22　虚血性腸炎
Section 1.5　骨盤痛/陰囊部痛
症例23　卵管卵巣膿瘍
症例24　異所性妊娠
症例25　生殖腺静脈血栓症
症例26　卵巣軸捻転
症例27　Fournier 壊疽
症例28　精上皮腫
症例29　精巣軸捻転
症例30　腎移植後の腎静脈血栓

Section 2　胸部
Section 2.1　胸痛
症例31　肺血栓塞栓症
症例32　上部消化管内視鏡後の食道破裂
症例33　大動脈解離
Section 2.2　咳嗽/呼吸困難
症例34　市中肺炎
症例35　膿胸
症例36　肺膿瘍
症例37　肺癌
症例38　ニューモシスチス肺炎

Section 3　頭頸部
症例39　食道周囲に異物刺入
症例40　扁桃周囲膿瘍
症例41　顎下腺管唾石による顎下腺炎
症例42　頭蓋内膿瘍
症例43　石灰沈着性頸長筋腱炎

Section 4　脳神経
症例44　急性脳梗塞
症例45　神経膠芽腫
症例46　弧発性のCreutzfeldt‒Jakob病
症例47　硬膜下血腫を合併した頭蓋内圧低下症
症例48　単純ヘルペス脳炎
症例49　硬膜静脈洞血栓症および出血性梗塞
症例50　動脈瘤破裂によるくも膜下出血
症例51　非外傷性の実質内出血
症例52　コカイン中毒による脳血管攣縮症候群

Section 5　骨軟部
症例53　脊椎椎間板炎および傍椎体膿瘍形成
症例54　壊死性筋膜炎

Part II　外傷性疾患
Section 6　脳神経
症例55　びまん性軸索損傷
症例56　硬膜外血腫
症例57　椎骨動脈解離

Section 7　胸部
症例58　右主気管支の外傷性裂傷による気胸

Section 8　腹部
症例59　横隔膜ヘルニア
症例60　膀胱破裂
症例61　肝損傷
症例62　脾損傷
症例63　腎損傷
症例64　遠位尿管損傷
症例65　子宮穿孔

Section 9　骨軟部
Section 9.1　脊椎外傷/骨盤外傷
症例66　頸椎損傷
症例67　胸腰椎損傷
症例68　骨盤輪損傷
Section 9.2　上肢の外傷
症例69　Bennett 骨折
症例70　Monteggaia 脱臼骨折
症例71　肘関節脱臼
症例72　上腕骨近位端骨折
症例73　橈骨頸部骨折
症例74　胸鎖関節脱臼
症例75　掌側板の剝離骨折
症例76　肩鎖関節脱臼
症例77　肩関節脱臼
症例78　橈骨遠位端骨折
Section 9.3　下肢の外傷
症例79　大腿骨近位側のビスホスホネート関連脆弱性骨折
症例80　Segond 骨折
症例81　脛骨高原骨折
症例82　足関節骨折
症例83　Lisfranc 脱臼骨折
症例84　第5 中足骨近位側の骨折
症例85　種子骨骨折
索引
和文索引/欧文索引

本書は救急放射線，救急画像診断に関して，Brigham and Women’s Hospital の放射線科スタッフドクターによって企画され，スタッフドクターのみならず，レジデントも含めて執筆，構成された，原著で678 ページに上る大作である．
　中枢神経から，脊椎，頭頸部，胸部，腹部，骨盤，骨軟部まですべての領域を網羅している．本書のレベルは放射線診断学や救急医学の専門医や専門医を目指す専攻医を対象としているが，訳者により，適宜，訳注に解説や図表を加えることで，研修医や医学生，診療放射線技師や看護師，臨床工学技士，救急救命士など，救急に携わるすべてのco‒medial staff にもわかりやすい内容になるよう心掛けた．
　また，外傷性疾患（PartⅡ，31 症例）のみならず，非外傷性疾患（PartⅠ，54 症例）の項目もあることから，外科系医師のみならず，内科系医師にも役立つ内容となっている．
　本書では，各項ごとに症例提示され，読者は所見を読み，診断を考え，設問に答えていくケーススタディ形式で始まるが，各項目の後半では臨床，分類，画像所見，治療法が詳細に記載されており，救急医学の成書として十分な内容を有している．
巻頭には診断名から始まる目次もあるので，疾患別に検索することも可能である．
項目数，症例数は85 と限られているが，各項目とも鑑別疾患に実際の症例を提示していることから，提示症例数は300 を超える．
　本邦ではCT が容易に施行できることに加えて，保険診療で「外傷全身CT」の項目があることから，救急診療の現場ではエネルギー強度の低い外傷症例や，発熱や胸痛，腹痛を主訴とする非外傷性疾患において，十分な現病歴の聴取や理学的診察がなされないまま，安易にCT が施行されることがあるが，本書ではCT，MR 画像の解説が主ではあるが，単純X 線写真や超音波画像もあり，きちんとした診断プロセスを遵守した内容となっている．
　もちろん，本書のみで，救急放射線のすべてを履修できるわけではないが，救急画像診断を極めるきっかけとなることを願う．
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2023 年7 月
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　井田 正博

2023-12-28

【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。

p.76 上から12行目
（誤）Meckel憩室 Meckel's diverticulitis
（正）Meckel憩室炎 Meckel's diverticulitis

2023-11-28

【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。

p.443 下から5行目
（誤）殿裂骨動脈には正常の血流が認められる(矢頭)．
（正）左椎骨動脈には正常の血流が認められる(矢頭)．

p.600 上から9行目
（誤）骨折線がに水平から垂直に急峻に移行する．
（正）骨折線が水平から垂直に急峻に移行する．