シュロスバーグの臨床感染症学 第2版

情報は弱く、原則は強い。 教科書は強い。

臨床感染症学を体系的に学べる若手医療者に役立つ教科書、待望の改訂。25のSectionと211の項目で構成され、「コロナウイルス-19」と「抗菌薬スチュワードシップの原則と実践」の2つの章を追加し、アップデート。各コンテンツは臨床的、実践的なトピックに絞り込んだ通読できる分量で、感染症臨床における原理原則、プリンシプルが理解できる。感染症専門医のみならず、感染症診療に関わる全ての医師に有用。

¥25,850 税込
原著タイトル
Schlossberg’s Clinical Infectious Disease, Third edition
監訳:岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野教授)
ISBN
978-4-8157-3117-5
判型/ページ数/図・写真
A4変 頁1328 写真336 原色図336 4色+2色
刊行年月
2024年9月
数量
カートに追加しました。
カートへ進む

Section 1 さまざまな臨床像:総論(山本舜悟)
1.不明熱
2.敗血症
3.慢性疲労症候群

Section 2 さまざまな臨床像:頭頸部(山本舜悟)
4.咽頭扁桃炎
5.感染性甲状腺炎
6.中耳炎と外耳炎
7.副鼻腔炎
8.歯性感染症
9.唾液腺,涙腺の感染症
10.深頸部感染症

Section 3 さまざまな臨床像:眼(白杉 郁)
11.結膜炎
12.角膜炎
13.虹彩炎
14.網膜炎
15.眼内炎
16.眼周囲と後眼窩感染症

Section 4  さまざまな臨床像:皮膚とリンパ節(大場雄一郎)
17.発熱と皮疹
18.ブドウ球菌とレンサ球菌のトキシックショックおよび川崎病
19.ウイルス性皮疹
20.皮膚潰瘍と膿皮症
21.蜂窩織炎と丹毒
22.深部軟部組織感染症:壊死性筋膜炎とガス壊疽
23.動物咬傷とヒト咬傷
24.シラミ症,疥癬,ハエウジ症
25.スナノミ症とトコジラミ感染
26.皮膚と爪の表在性真菌感染症
27.真菌性菌腫
28.リンパ節腫脹 / リンパ節炎

Section 5  さまざまな臨床像:呼吸器(松尾裕央)
29.気管支炎
30.クループ,声門上炎,喉頭炎
31.非定型肺炎
32.市中肺炎
33.院内肺炎
34.誤嚥性肺炎
35.肺化膿症
36.膿胸と気管支胸膜瘻

Section 6  さまざまな臨床像:心血管(米本仁史)
37.心内膜炎
38.急性心膜炎
39.心筋炎
40.縦隔炎
41.血管感染症
42.心血管植え込み型電子デバイスの感染症

Section 7  さまざまな臨床像:消化管,肝臓,腹部(山本勇気)
43.急性ウイルス性肝炎
44.慢性ウイルス性肝炎
45.胆道感染症:胆囊炎,胆管炎
46.化膿性(細菌性)肝膿瘍
47.急性膵炎の感染性合併症
48.食道感染症
49.胃腸炎
50.食中毒
51.Clostridioides(Clostridium)difficile
52.腸管の性感染症
53.急性虫垂炎
54.憩室炎
55.腹腔内膿瘍
56.脾膿瘍
57.腹膜炎
58.Whipple 病とスプルー

Section 8  さまざまな臨床像:泌尿生殖器(長田 学)
59.尿道炎と排尿障害
60.腟炎と子宮頸管炎
61.精巣上体- 精巣炎
62.生殖器潰瘍・リンパ節腫脹症候群
63.前立腺炎
64.骨盤内炎症性疾患
65.尿路感染症
66.カンジダ尿
67.巣状腎感染症と乳頭壊死

Section 9  さまざまな臨床像:筋骨格系(海老澤 馨)
68.自己関節感染および人工関節感染
69.滑液包炎
70.急性および慢性骨髄炎
71.多関節炎
72.感染性多発性筋炎
73.腸腰筋膿瘍

Section 10  さまざまな臨床像:神経系(西村 翔)
74.細菌性髄膜炎
75.無菌性髄膜炎
76.急性ウイルス性脳炎
77.頭蓋内の化膿性病変
78.脊髄硬膜外膿瘍
79.脊髄炎および末梢神経障害
80.Reye 症候群
81.進行性多巣性白質脳症
82.髄液シャント感染

Section 11 感染しやすい宿主(岩田健太郎)
83.免疫不全を疑ったときの評価
84.好中球減少患者の感染
85.悪性新生物のある患者の感染
86.ステロイド,細胞傷害性薬
87.生物製剤
88.移植患者の感染
89.糖尿病と感染
90.注射,非注射の薬物使用者での感染合併症
91.アルコール依存患者の感染
92.高齢者の感染
93.新生児感染
94.妊娠と産褥期:感染リスク
95.透析関連感染
96.無脾関連感染

Section 12 HIV(土井朝子)
97.HIV 感染症:初期評価とモニタリング
98.HIV 感染症:抗レトロウイルス治療
99.免疫再構築症候群
100.HIV 関連の日和見感染症の鑑別診断とマネジメント
101.HIV 感染症における日和見疾患の予防

Section 13 院内感染(山本勇気)
102.経皮的血液・体液曝露のリスクと管理
103.院内感染による発熱
104.輸血関連感染症
105.血管内カテーテル関連感染症
106.尿路カテーテル関連感染症

Section 14  手術と外傷に関連した感染症(山本勇気)
107.手術後の創部感染
108.外傷関連の感染症
109.体内植え込み人工物関連の感染症
110.熱傷患者の感染症

Section 15 感染予防(岩田健太郎)
111.手術以外の抗菌薬予防投与
112.術後感染予防
113.予防接種
Section 16 旅行・レクリエーション(小山泰司)
114.旅行者へのアドバイス
115.帰国後の発熱
116.動物由来全身感染症
117.ダニ媒介疾患
118.レクリエーションによる水曝露
119.旅行者下痢症

Section 17 バイオテロリズム(小山泰司)
120.バイオテロリズム

Section 18 微生物各論:細菌(西村 翔)
121.放線菌症
122.嫌気性菌感染症
123.炭疽
124.Bartonella bacilliformis
125.ネコひっかき病およびその他のBartonella 感染症
126.Bordetella
127.Branhamella / Moraxella
128.ブルセラ症
129.Campylobacter
130.Clostridium
131.Corynebacteria
132.腸内細菌目細菌
133.腸球菌
134.Erysipelothrix(豚丹毒)
135.HACEK
136.Helicobacter pylori(ピロリ菌)
137.淋菌
138.Haemophilus
139.レジオネラ症
140.Hansen 病
141.髄膜炎菌とその他のNeisseria
142.Listeria
143.Nocardia
144.Pasteurella multocida
145.肺炎球菌
146.Pseudomonas,Stenotrophomonas,Burkholderia
147.鼠咬症
148.Salmonella(サルモネラ)
149.Staphylococcus(ブドウ球菌)
150.A 群およびB 群,C 群,D 群,G 群レンサ球菌
151.緑色レンサ球菌
152.溶連菌感染後の免疫学的合併症
153.赤痢菌
154.野兎病
155.結核
156.非結核性抗酸菌
157.Vibrio(ビブリオ)
158.Yersinia
159.種々のGram 陽性菌
160.種々のGram 陰性桿菌

Section 19  微生物各論:スピロヘータ(蓮池俊和,長田 学)
161.梅毒とその他のスピロヘータ症(蓮池俊和)
162.ライム病(蓮池俊和)
163.ボレリア症(蓮池俊和)
164.レプトスピラ症(長田 学)

Section 20  微生物各論:Mycoplasma とChlamydia(荒川 悠)
165.Mycoplasma
166.Chlamydia pneumoniae
167.Chlamydophila psittaci(psittacosis:オウム病)

Section 21  微生物各論:Rickettsia,Ehrlichia,Anaplasma(栃谷健太郎)
168.Rickettsia 感染症
169.エールリキア症とアナプラズマ症

Section 22 微生物各論:真菌(栃谷健太郎)
170.カンジダ症
171.アスペルギルス症
172.ムコール症(とエントモフトラ症)
173.Sporotrichum
174.Cryptococcus
175.ヒストプラズマ症
176.ブラストミセス症
177.コクシジオイデス症
178.Pneumocystis jirovecii(icarinii)
179.さまざまな(新興)真菌と藻類

Section 23 微生物各論:ウイルス
180.サイトメガロウイルス(小山泰司)
181.デング熱(西村 翔)
182.エンテロウイルス(海老澤 馨)
183.EB ウイルス(EBV)と,その他の単核球症様症候群の原因(小山泰司)
184.ハンタウイルス心肺症候群(山本勇気)
185.単純ヘルペスウイルス1 型と2 型(小山泰司)
186.ヒトヘルペスウイルス6,7,8 型(西村 翔)
187.インフルエンザ(山本舜悟)
188.コロナウイルス-19(佐藤直行)
189.口,陰部感染でのパピローマウイルス(岩田健太郎)
190.急性および慢性パルボウイルス感染症(山本勇気)
191.狂犬病(長田 学)
192.水痘帯状疱疹ウイルス(西村 翔)
193.ウイルス性出血熱(小山泰司)

Section 24 微生物各論:寄生虫(岩田健太郎)
194.腸管内線虫
195.組織線虫症
196.住血吸虫とその他の吸虫
197.条虫(cestode)
198.トキソプラズマ(Toxoplasma)
199.マラリア
200.ヒトバベシア症
201.トリパノソーマ症とリーシュマニア症
202.腸管原虫症
203.腸管外アメーバ感染

Section 25  抗菌薬療法:概論(岩田健太郎,具 芳明)
204.抗菌薬療法の原則(岩田健太郎)
205.抗菌薬(岩田健太郎)
206.抗菌薬スチュワードシップの原則と実践(具 芳明)
207.抗真菌療法(岩田健太郎)
208.抗ウイルス療法(岩田健太郎)
209.プロバイオティクス:アップデート(岩田健太郎)
210.抗菌薬過敏反応(岩田健太郎)
211.抗菌薬の表(岩田健太郎)

索引

監訳者序文

教科書は強し。
 数年のCOVID-19 パンデミックを経験し,再確認したのは教科書の重要性であった。全く未知だったウイルスの未曾有のパンデミックである。「古い」コンテンツである教科書の何が役に立つのか? 訝しく思う読者もいるだろう。
 そうではない。SNS や動画サイトで拡散される情報の危ういこと。雨後の筍のように発表される論文吟味の難しいこと。多くの半可通たちがそのような味噌ともクソとも判然としない多々の情報に飛びつき,そして誤った。速報性の高い情報が,ロバスト
な情報とは限らず,しばしばそうではなかった。
 教科書で学ぶべきは原理原則,プリンシプルである。プリンシプルの重要性を説いたのは白洲次郎であったが,それは日本人に
欠如しているのがプリンシプルだと痛感していたからではなかろうか。
 かつて,日本の感染症診療はデタラメであり,そこにはプリンシプルのプの字もなかった。ここ数年は各氏の努力のおかげで,「形なし」だった診療にもようやく「形」らしきものが生じてきた。抗菌薬開始の前に各種培養が出され,適切な投与量の抗菌薬が投与される,という誠に初歩的な「形」ではあるが,それすらまっとうに行われてこなかったのが往時の姿だったのだ。
 しかし。形だけでは診療にはならない。防護服を着て,PCRを出して,ナンヤカンヤの薬を処方するだけではCOVID 対策にならないように。形の背後には原則が必要だ。重厚な理とデータと,賢人たちの学知の歴史を積み上げた原則である。
 かつて,私はそれを恩師から教わった。恩師の言葉はしばしば断定口調で,「XX するのがよい」と簡潔におっしゃった。その価値や意味するところを理解できない浅学の私は,生意気にも恩師の言葉の意味や意義を疑った。そこで図書館にあった分厚い“Mandell”[注:最新版はMandell, Douglas, and Bennett’s principlesand practice of infectious diseases, 9th edition(Elsevier,2020)]を広げ,恩師の言葉の「裏」を取った。“Mandell”には恩師
の教えがそっくりそのまま記されており,私は驚愕した。感染症診療を,ノリや形式や思いつきで行ってはならないと覚悟した。
 本書を創ったシュロスバーグはすでにこの世にない。けれども,彼の精神は執筆者や編集者にも伝わり,よい意味での伝統と原則に,新たなデータやエビデンスが加えられた重厚な教科書になっている。「バイブル」といわれる“Mandell”のさらに臨床的な側面を先鋭化した,しかし質においては全く劣っていないテキストである。質の高い教科書は強い。プリンシプルをしっかり学べば,未知の感染症にも妥当に対応できる。開発されたばかりの新しい検査や治療薬の評価もまっとうに行える。情報は弱く,原則は強い。教科書は強い。
 読者諸氏にはぜひ本書を開き,その価値を十分に吸い上げていただきたい。
 
2024 年
岩田 健太郎

2024-09-30

【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。

329ページ表56.3の上から17行目(正体→イタリック)
(誤)Propionibacterium
(正)Propionibacterium

329ページ表56.3の下から7行目(正体→イタリック)
(誤)albicans
(正)albicans

329ページ表56.3の下から6行目(正体→イタリック)
(誤)tripicalis
(正)tripicalis

359ページ表62.2の下から8~9行目
(誤)でっぷり
赤い
(正)牛の赤身肉のように赤い

366ページ表63.4の上から5行目
(誤)mnocycline
(正)minocycline

367ページ右段の上から3行目
(誤)Dauglas
(正)Douglas

405ページ表72.2の上から3行目(イタリック→正体)
(誤)complex
(正)complex

623ページ左段の上から26~7行目
(誤)抗生物質
(正)抗菌薬

646ページ表111.1の上から4行目(正体→イタリック)
(誤)Neisseria
(正)Neisseria

653ページ右段の下から5~6行目
(誤)感染または感染した
(正)感染した

672ページ表3のロタウイルスの免疫状態
(誤)SLID
(正)SCID

749ページ表122.6の皮膚軟部組織
(誤)3. tigecycline
(正)tigecycline

794ページ左段の上から17行目
(誤)新規抗菌
(正)新規抗菌

961ページ右段の下から6行目
(誤)可能性があること
(正)可能性がある

1124ページ左段の上から17行目
(誤)特許取得前の時期
(正)感染早期

1248ページ表211.1のpenicillin G benzathine
(誤)ステイル
(正)ステルイ

脳科学を網羅する教科書

周術期管理を核とした総合誌[リサ]月刊/毎月1月発売

エビデンスの先のベストプラクティスを描くクオータリー・マガジン。季刊/年4回発行

患者全体を見すえた内科診療のスタンダードを創る!季刊/年4回発行

救急に関わるすべての医療者のための総合誌

際限なき医学欲を満たす、極上の教科書を召し上がれ。

カテゴリ一覧

ページトップへ