研修医・当直医のための 救急画像読影ガイド - 危機的な所見を見逃さないために -

救急×画像診断のエキスパートが 救急画像のコツを教えます!

救急と画像診断のエキスパートによる救急診療における画像所見の読影法を示した指南書。使用頻度の高い単純X線写真やCTを中心に、見逃してはいけない病態と疾患の撮影・読影・対応のポイントを解説。改訂にともない若手医師が知っておくべき「外傷」を新規構成、「救急領域での感染対策」「超音波検査」「ECMO」を追加し、タイトルを一新。 ※『救急画像診断「超」入門』より改題

¥5,720 税込
船曵知弘 藤田医科大学病院 高度救命救急センター長/救急科教授
ISBN
978-4-8157-3116-8
判型/ページ数/図・写真
B5変 頁280 図・写真790 表6 2色
刊行年月
2024年9月
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PartⅠ 画像検査の基本
1章 画像検査をオーダーするときの考え方
1.1 患者を「診る」とは?
1.2 どのように画像検査をオーダーするのか?
1.3 質の高い画像診断のために
①システムでカバーする/②個々人の能力でカバーする/③多職種でカバーする
1.4 救急領域における感染対策
2章 画像検査に必要な正常像の理解
2.1 胸部単純X 線写真
①鎖骨・肋骨・肩甲骨の見え方/②心陰影の見え方/③縦隔陰影の見え方/④横隔膜の見え方/⑤肺血管陰影の見え方/⑥側面像の評価
2.2 腹部単純X 線写真
①腹部臓器の見え方/②腸腰筋陰影/③側腹線条/④膀胱
2.3 頭部CT:横断像動脈解剖/動脈支配領域
2.4 胸部CT:横断像縦隔条件/肺野条件
2.5 腹部・骨盤CT:横断像
2.6 胸腹部CT:冠状断像
3章 撮像時の工夫:診断へつなげるポイント
3.1 超音波検査
①胸部/②心臓/③腹部・骨盤/④外傷
3.2 X 線検査
①胸部/②腹部/③骨盤/④四肢/⑤頸椎/⑥頭蓋・顔面
3.3 CT 検査
①単純CTが必要な状況/②造影CTが必要な状況/③造影剤の使用方法/④造影剤使用の可否/⑤造影剤の副作用とその対策/⑥外傷における撮影範囲と造影剤の使用方法

PartⅡ 画像検査の実践
4章 ERでのX 線検査のピットフォール
4.1 撮影条件を考える
4.2 腹腔内遊離ガスを見つける
4.3 後腹膜の異常を見つける
4.4 骨皮質の連続性を確認する
5章 ICUでのX線検査のピットフォール:チューブ留置後の撮影
5.1 挿管チューブの位置
5.2 CV カテーテル,PICC の位置
5.3 胸腔ドレーンの位置
5.4 経鼻胃管の位置
5.5 IABO/REBOA カテーテルの位置
5.6 ECMO の脱血送血カテーテルの位置
6章 造影CT 検査のピットフォール
6.1 消化管出血
6.2 結石
6.3 血管外漏出像
6.4 Pseudovein appearance
6.5 血栓閉塞型の急性大動脈解離,壁在血栓

PartⅢ 救急診療における危機的な疾患
7章 CTで読影すべき重要な頭部疾患
7.1 くも膜下出血subarachnoid hemorrhage
7.2 脳梗塞cerebral infarction
症例問題 頭部(Case 1~8)
8章 CTで読影すべき重要な胸部疾患
8.1 急性大動脈解離acute aortic dissection
8.2 肺塞栓症pulmonary embolism
8.3 急性心筋梗塞acute myocardial infarction
症例問題 胸部(Case 1~11)
9章 CTで読影すべき重要な腹部疾患
9.1 消化管穿孔gastrointestinal perforation
9.2 消化管出血gastrointestinal bleeding
9.3 腸管虚血mesenteric ischemia
9.4 急性虫垂炎acute appendicitis
9.5 腹腔内出血intra-abdominal hemorrhage
症例問題 腹部(Case 1~23)
10章 CTで読影すべき重要な外傷
10.1 急性硬膜外血腫,急性硬膜下血腫acute epidural hematoma/acute subdural hematoma
10.2 大動脈損傷aortic injury
10.3 肺挫傷pulmonary contusion
10.4 血気胸hemopneumothorax
10.5 腹腔内出血intra-abdominal hemorrhage
10.6 不安定型骨盤骨折unstable pelvic fracture
10.7 肝損傷liver injury
10.8 脾損傷splenic injury
10.9 腎損傷renal injury
症例問題 外傷(Case 1~10)
索引

コラム
ムダな検査を減らすには
腹腔内遊離ガスが見当たらない(帰してしまった患者①)
多職種でつくる救急医療チーム(タスク・シフト/シェアに向けて①)
他診療科の人材をシェアする(タスク・シフト/シェアに向けて②)
尿管結石の診断だけでよかったか?(帰してしまった患者②)
上腹部の打撲痕(帰してしまった患者③)
小児の頭部外傷(帰してしまった患者④)
高齢者への危険な浣腸(帰してしまった患者⑤)

2018年に『救急画像診断「超」入門─危機的な所見を見抜くために』が上梓されて,早くも 6 年が経過しました(注:本書改訂にあたり改題しました)。救急診療の中で,画像検査はますます欠かせないものになっているのにもかかわらず,まだまだ画像検査との間には距離があるように思います。検査をすることは容易であっても,それを正確に解釈するのはオーダーした人とは別の人......。救急診療の中で,「なんとなく」画像検査を行い,「なんとなく」診断して,そのまま治療が行われています。本当にそれで大丈夫なのでしょうか。
 どのような画像検査を選択し,その画像をどのように撮影・読影するのでしょう。そして,そこにはどのような注意点があるのでしょう。画像の解釈をする前に,得られるであろう結果も考えてモダリティを選択し,そして正確に解釈(さらに対応)することが求められます。今版では新たに画像解釈後の次のステップとなる「その後の対応」についても触れています。
 本書では,これらの要素(モダリティの特徴,撮影方法,解釈の仕方)を盛り込み改訂しました。基本的な部分は年月が経っても大きな変化がないため同様の内容になっていますが,わかりにくかった表現は見直し,必要な場合は解説を追加し,新たに超音波検査にも踏み込んで記載しました。また感染症対策に関しても若干ではありますが言及しました。さらに外傷診療に関して,そのエッセンスを盛り込み,症例については10章にまとめました。そして症例では代表的な症例に焦点を絞り,取り上げました。紙面の関係上,多くの連続断面から見つけ出すということはできませんが,キーとなる画像から所見を拾い上げ,次なる一歩に結び付けていただければと思います。質問と解説の形式で外傷および内因性疾患の52症例をまとめていますので,知識の整理に有効と思います。ぜひ挑戦してみてください。
 若手医師にしてみると,医学部で学んできた,「病名」→「異常所見」の矢印の向きが変わるのが臨床です。「訴え」→「異常所見」→「病名(診断)」という流れになります。異常所見を見つけることができなければ,診断にたどり着かず,診断が確定しないと治療を行えない,もしくは治療を誤ることがあります。若手医師にとって,まずは緊急性を要する傷病から考えることが重要であり,本書は最適な一冊であると思っています。
 また,タスク・シフト/シェアの大きな波により,診療放射線技師には「STAT画像報告」の波が押し寄せてきました。好む好まぬに関係なく,救急診療の担当者(普段,救急に関わっていなくても夜間や休日には,否応なく担当せざるを得ない)にとって,STAT 画像報告が求められるようになるだろうと思います。それが治療方針を左右するかもしれないと考えるとドキドキしますよね。ですがこれは大きなチャンスなのです。日頃から画像に携わっているからこそ,「正常ではない」「異常があるのではないか」とアンテナを張ることができる感性は診療放射線技師ならではの能力です。ぜひ,本領を発揮していただきたいと思いますし,本書がその一助になればと思います。
 看護師にとって,特に診療看護師にとって,ER などでアセスメント能力をいかんなく発揮していると思いますが,やはり画像に関してはまだ少し距離があるのではないかと思います。アセスメントを行ううえで,画像検査所見を拾い上げることができれば,大きな武器になります。ぜひとも修得していただきたい能力の一つです。
 多くの職種が救急診療に関わる中で,本書がそのきっかけとなり,より多くの患
者に貢献できるようになりますように。
2024 年 9 月

船曵知弘

脳科学を網羅する教科書

周術期管理を核とした総合誌[リサ]月刊/毎月1月発売

エビデンスの先のベストプラクティスを描くクオータリー・マガジン。季刊/年4回発行

患者全体を見すえた内科診療のスタンダードを創る!季刊/年4回発行

救急に関わるすべての医療者のための総合誌

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