INTENSIVIST(インテンシヴィスト) 2024年3号

特集:Respiratory ECMO2.0



2009年のH1N1インフルエンザパンデミック以降,呼吸ECMOの実施数は世界的に増加しました。日本の集中治療の現場でも「ECMO」が認識され,日本集中治療医学会および日本呼吸療法医学会によるECMOプロジェクト参加施設を中心に,長期管理向きの機器の普及,教育による人材育成,呼吸ECMO症例の集積と精力的な活動が展開されました。この時代は我が国にとってver 1.0であったと言えます。

未曾有のCOVID−19パンデミックでは,日本国内各地域のECMOサージキャパシティを大きく上回る重症呼吸不全患者が発生し,未経験もしくは経験の乏しい施設でもECMOの導入・管理をしなければならない災害医療的状況に陥りました。これらに対し,NPO法人日本ECMOnetによる継続的な教育活動や診療支援活動が行われ,重症COVID−19患者に対するECMO治療は欧米と比較しても良好な成績を残すに至りました。本邦の呼吸ECMOは診療の裾野を大きく広げ,質の維持向上もはかられ,ver 2.0へ大幅に進歩したと言えます。本特集は,本誌を読み終えたときに呼吸ECMOの知識がワンランク上にアップデートされるように構成しました。「COVID−19によるARDS」だけでは経験できなかった呼吸ECMOの真髄,伸び代,奥深さを存分に味わうことのできる1冊になればと考えています。



INTENSIVIST0号(創刊当時の座談会の模様)はこちら



 



 




  • 「世界標準の集中治療を誰にでもわかりやすく」をコンセプトに、若手医師の育成や情報交換を目的として発足した「日本集中治療教育研究会」(Japanese Society of Education for Physicians and Trainees in Intensive Care=JSEPTIC)の活動をベースに、年4回発行。

  • 毎号1つのテーマを決め、最新のエビデンスに基づいて、現在わかっていること/わかっていないことを検証、徹底的に解説。施設ごとに異なる診療を見直し、これからの集中治療のスタンダードを提示する。

  • 重症患者の治療にあたる医師として最低限必要な知識を手中に収めるべく、テーマは集中治療にとどまらず、内科、呼吸器、救急、麻酔、循環器にまで及び、ジェネラリストとしてのインテンシヴィストを追求する。

  • 集中治療専門医、それを目指す若手医師をはじめ、専門ナース、臨床工学技士、さらには各科臨床医に対し、集中治療を体系的に語り、議論し、意見交換ができる共通の場(=アゴラ)を提供する。



 











JSEPTIC ホームページ

特定非営利法人 日本集中治療教育研究会




 



 



 



 

¥5,060 税込
責任編集:萩原 祥弘(済生会宇都宮病院 救急・集中治療科/栃木県救命救急センター)・岩永 航(浦添総合病院 救命救急センター)・櫻谷 正明(JA広島総合病院 救急集中治療科)
ISBN
978-4-8157-2081-0
判型/ページ数/図・写真
A4変 頁200
刊行年月
2024年9月
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1.巻頭言:COVID−19パンデミックを経たrespiratory ECMOの現在地
 竹田 晋浩 かわぐち心臓呼吸器病院/日本ECMOnet理事長

ECMO合併症を治療段階で整理する
2.VV ECMO管理総論 :respiratory ECMO管理の鍵は安全の担保である
 清水 敬樹 東京都立多摩総合医療センター ECMOセンター
3.導入期 重症ARDS患者に対するVV ECMOの導入とタイミング:ECMO:First“R”
 市場 晋吾 日本大学医学部附属板橋病院 麻酔科・集中治療室
4.導入期 configurationとcannulationを「深く」考える :理想(理論値)と現実(実臨床)
 藤田 健亮 済生会宇都宮病院 救急・集中治療科/栃木県救命救急センター
 小倉 崇以 済生会宇都宮病院 救急・集中治療科/栃木県救命救急センター
5.維持期 御せよ!ECMO装置のトラブル:サーキットチェックを制する者はECMOを制す
 濱口 純 東京都立多摩総合医療センター ECMOセンター
6.維持期 抗凝固管理の基礎と合併症:治療と評価の手段を識り,患者と病態を知る
 服部 憲幸 千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学
7.維持期 VV ECMOにおける肺保護戦略:完全lung restから個別化時代へ
 岩永 航 浦添総合病院 救命救急センター
8.長期ECMO 合併症の予防とawake ECMO:prolonged ECMOからawake ECMOへ,でもその前に
 原 嘉孝・中村 智之・西田 修 藤田医科大学医学部 麻酔・侵襲制御医学講座

Respiratory ECMOの生理学:人体とECMOの相互作用を理解する
9.ECMO開始時の生理学的変化:ECMO初期設定のコツとリスク管理:臨床応用への実践的アプローチ
 大下 慎一郎 広島大学大学院 救急集中治療医学
10.respiratory ECMO管理中の低酸素血症はなぜ起こるのか?:DO2,VO2の構成要素から考える
 文屋 尚史 札幌医科大学医学部 救急医学講座
11.VV ECMOにおける右室傷害:心肺連関に基づいた右心保護戦略
 萩原 祥弘 済生会宇都宮病院 救急・集中治療科/栃木県救命救急センター
12.安全ですみやかなweaningのためのアートとサイエンス:いつ開始して,何を見るのか? 知られざる合併症の実態は?
 谷口 隼人 横浜市立大学附属市民総合医療センター 高度救命救急センター
13.ECMO管理中の出血原因として忘れてはいけない4つの病態:出血性合併症の上流には何が隠れているのか?
 星野 耕大 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 救命救急センター
14.特別企画:エキスパート施設に聞く!respiratory ECMO管理の11の質問
 大下 慎一郎・清水 敬樹・濱口 純・萩原 祥弘・文屋 尚史
 コメンテーター:岩永 航・萩原 祥弘・櫻谷 正明 JA広島総合病院 救急集中治療科
【コラム】海外ECMOセンター紹介:ECMO基礎研究と海外留学
 劉 啓文 The Prince Charles Hospital, Critical Care Research Group/
     The University of Queensland, Institute for Molecular Bioscience/
     NPO法人集中治療コラボレーションネットワーク
【コラム】海外ECMOセンター紹介:米国におけるmechanical circulatory supportトレーニングの開放     
小畑 礼一郎 Cardiothoracic Critical Care Anesthesiology Fellowship
     Cleveland Clinic Foundation

連載
■え?知らないの?ネブライザの使い方
〈シリーズ構成:上岡 晃一 東京医科大学病院 臨床工学部〉
 礒本 泰輔 兵庫医科大学病院 臨床工学部
■ 集中治療に関する最新厳選20論文
 田邊 翔太 松江赤十字病院 救急部
 吉田 英樹 聖マリアンナ医科大学 救急医学

2024-09-26

【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。

378ページ,見出し「VV ECMOの管理中のPEEP設定」の本文1行目
(誤)ARDS患者にへのVV ECMOを導入すると
(正)ARDS患者VV ECMOを導入すると

379ページ,左段の本文 下から11行目
(誤)PEEPを負荷べきかという疑問の
(正)PEEPを負荷するべきかという疑問の

414ページ,左段の本文 下から7行目
(誤)モニリング
(正)モニリング

429ページ,図7の横軸のラベル
(誤)ひろげる 時間(min)
(正)時間(min)

456ページ,「はじめに」の右側の略語一覧
(誤)VCO2ML:人工肺の二酸化炭素排出量
(正)VCO2NL:人工肺の二酸化炭素排出量

脳科学を網羅する教科書

周術期管理を核とした総合誌[リサ]月刊/毎月1月発売

エビデンスの先のベストプラクティスを描くクオータリー・マガジン。季刊/年4回発行

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