グングン上達する 認知症のみかた

診断の“手掛かり”はココにあり!

厳選された51症例をピットフォールごとに10パートに分類して提示・解説。各症例を通して、診断に至るまでの思考過程と病歴や症候の見逃し・見誤りやすいポイントがわかり、自ずと診療のコツが身につく。各症例は3~5頁の読み切りサイズで、気になるトピックから読み進めることができる。25点の動画コンテンツ付き。専門・非専門問わず、認知症診療」に携わる臨床医はこれ一冊でグングン上達する!

¥5,720 税込
原著タイトル
Common Pitfalls in Cognitive and Behavioral Neurology: A Case-Based Approach
監訳:金城 紀与史(琉球大学医学部 医学教育企画室)・小林 俊輔(帝京大学医学部 脳神経内科学講座)
ISBN
978-48157-3118-2
判型/ページ数/図・写真
B5変 頁224 図38 表59
刊行年月
2024年9月
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Part 1 診断を完全に見誤る
Case 1 年のせいでしょ
Case 2 認知機能の低下は氷山の一角
Case 3 “いつも繰り返さないといけないの”
Case 4 心理検査が正常だから心配ないよ!
Case 5 記憶は問題ないから認知症にならない⁉

Part 2 障害された認知領域を見誤る 
Case 6 物の名前がわかるということ
Case 7 忘れたことを覚えているか,覚えていないか
Case 8 “いつもの彼じゃない”
Case 9 “彼女はただやる気がないだけ”
Case 10 見ているのに見えてない

Part 3 病歴にある重要な手掛かりを見逃す
Case 11 明白になるきっかけ
Case 12 知らぬ間におかしくなる?
Case 13 病気が急に進んだ
Case 14 記憶障害の正しい徴候を見抜く
Case 15 家族歴って大切

Part 4 パターン認識の失敗
Case 16 Alzheimer病にしては行動上の問題が多すぎ?
Case 17 表面(脳波)より深いところを見る
Case 18 “ここにいるには若すぎる”
Case 19 ゆれる不安な心
Case 20 偽者に気がつかない

Part 5 難しい認知・行動障害の特徴的な症状
Case 21 言語の障害:どんな場合に失語ではない?
Case 22 前頭葉,頭頂葉,あるいはどちらでもない?
Case 23 予想外の認知症
Case 24 パンチドランカー
Case 25 知らずに覚えている

Part 6 微妙な臨床所見
Case 26 何かがおかしい
Case 27 無意識に動いてしまう
Case 28 発話に間がある
Case 29 Alzheimer病を越えて見えてくるもの
Case 30 そういう気持ちではない

Part 7 検査結果の誤解釈
Case 31 アミロイドPETが陽性であれば必ずAlzheimer病?
Case 32 ヘルペス脳炎の再発?
Case 33 治療反応性に乏しい“抗VGKC抗体脳炎”
Case 34 14-3-3蛋白陰性の孤発性Creutzfeldt-Jakob病?
Case 35 Alzheimer病と診断されている―それでいい?

Part 8 既知または疑われる疾患に所見を関連づけてしまう
Case 36 “ずっと前からいびきをかいてますが,仕事に支障が出たことはありません”
Case 37 早期の発症
Case 38 “何年も同じ薬を飲んでいます”
Case 39 認知機能障害と血圧変動
Case 40 大脳皮質基底核:症候群 vs. 病理

Part 9 画像診断の手掛かりを見逃す
Case 41 また血管性認知症?
Case 42 水頭症における偽萎縮性パターン
Case 43 放射線療法後のパーキンソニズム,運動失調,認知機能障害
Case 44 Alzheimer病ではない。では何?
Case 45 全体像を見る

Part 10 マネジメントの失敗
Case 46 やめられない
Case 47 今でも効いている?
Case 48 介護する人への配慮
Case 49 安全第一?
Case 50 過大な期待
Case 51 何もできることがない

口絵
用語解説

高齢化が進むなか,認知症およびその前段階である軽度認知障害の患者数は今後も世界的に増加することが予測されている。我が国でこれらの患者を受け入れる「物忘れ外来」を担うのは,プライマリ・ケア医,脳神経内科医,精神科医など,幅広い専門領域の医師たちであり,その認知症性疾患に対する知識,経験,アプローチはさまざまであろう。なかには,「予後は変わらないから細かい病型診断を行う意義も薄い」といった悲観的な見方もあり,物忘れ外来での診療が,甲状腺機能低下症やビタミン欠乏,神経梅毒,慢性硬膜下血種の除外といった「ルーチンワーク」にとどまる場合もあるかもしれない。
 しかし,認知症診療の状況は大きく変わりつつある。認知症は限局性の病巣ではないので,その症候を研究することにはあまり意味がないと考えられた時代もあったが,臨床症候の理解が深まり,疾患分類が整備され,バイオマーカーが開発されるとともに,ついにAlzheimer病に対する疾患修飾薬が登場した。バイオマーカーの進歩により,より正確な診断が可能になるのは歓迎すべきであるが,そのために認知症の症候学の意義が薄まることはないと私たちは考えている。症候学は診断に役立つだけでなく,患者自身やその家族,介護者が直面している問題を理解するうえでも重要だからである。MMSE(Mini-Mental State Examination)のスコアとアミロイド蓄積を確認し,治療を施すという単純化されたアプローチには,多くの落とし穴が潜んでいるだろう。
 本書は,認知症診療におけるピットフォール(診療上の落とし穴)を体系的に分類し,解説する形式で編集されている。非専門医の読者にとっては馴染みのない疾患もあるかもしれないが,症例を通じて病歴や症候の見逃し・見誤りやすいポイントを学べるようになっている。各章はコンパクトで読みやすく,また専門医がどのような思考過程で診断に至るのかを学ぶことができる。読者は認知症診療をスリリングに疑似体験することができ,読み進むうちに,いつの間にか認知症診療のコツが身につくだろう。
 私たちは亀田総合病院で研修医として共に学んだが,その後それぞれ総合内科と脳神経内科の道に進んだ。そして約30年後に再会した際に,本書の企画について話し合い,一緒に翻訳を進めることになった。翻訳に際し,専門性の高い用語は解説文を適宜補足し,特に高頻出用語は巻末に収載した。この分野の面白さを共有したいという気持ちから,7名の仲間たちに翻訳の協力を仰いだが,その質の高い仕事にここで深く感謝の意を表したい。また,日本語版の出版にご理解をいただいたメディカル・サイエンス・インターナショナルの髙橋諒 氏,神田奨 氏に厚くお礼を申し上げる。幅広い医療者に本書を手に取っていただき,多くの患者の助けになることを心から願っている。

2024年 8月
金城 紀与史
小林 俊輔

脳科学を網羅する教科書

周術期管理を核とした総合誌[リサ]月刊/毎月1月発売

エビデンスの先のベストプラクティスを描くクオータリー・マガジン。季刊/年4回発行

患者全体を見すえた内科診療のスタンダードを創る!季刊/年4回発行

救急に関わるすべての医療者のための総合誌

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