特集:どうする? PCAS
心停止後症候群(PCAS)は,多くの施設でプロコトルを作成しており,各施設での対応はほぼ標準化しています。今の若手医師は,プロトコルに基づいて診療にあたっていますが,そのプロトコルの背景にあるエビデンスおよび解釈についてきちんと理解していない人も多いと思われます。
本特集は,現状のエビデンスをピックアップして提示し,そのエビデンスをどのように解釈して各施設のプロコトルに落とし込んでいったのか,その流れを見せることを目的としています。
INTENSIVIST0号(創刊当時の座談会の模様)はこちら
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1.DEPARTURE:PCASプロトコルをどう組み立てるか? その背景にあるものは何か?
藤本 佳久 聖マリアンナ医科大学 救急医学 Neuro ICU team
2.心停止後症候群の病態生理:脳組織低酸素回避のためにできること
岡崎 智哉 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科
3.初療における心停止診療:限られた時間でいかにICU診療につなげるか
大橋 孝太朗・松岡 由典 神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター・救急部
4.二次性脳損傷を回避するICU管理に必要なこと:ガイドラインやエビデンスをふまえた管理方法
諸橋 優祐 TMG あさか医療センター 神経集中治療部
藤本 佳久
5.PCASに特徴的な合併症:合併症チェックリストにのっとり迅速かつ適切に対応
井上 史也 聖路加国際大学大学院 公衆衛生学研究科
大谷 尚之 広島市立広島市民病院 救急科
6.低体温療法は本当に効かないのか?:歴史的経緯から低体温療法が有効な患者群を探る
内藤 宏道・湯本 哲也・中尾 篤典 岡山大学学術研究院医歯薬学域 救命救急・災害医学講座
〔うちの体温管理はこうやっています〕
【コラム】脳波所見に合わせて目標体温を設定する:aEEG所見を用いた体温管理プロトコルの実際とその効果
井上 謙・杉山 和宏 東京都立墨東病院 高度救命救急センター
【コラム】33℃を24時間維持し,24時間かけて36.6℃に復温:効果が期待できるかもしれないのであれば,基本は低体温療法がよいのではないか
井上 明彦 兵庫県災害医療センター 救急部
【コラム】開始24時間は36℃,その後の72時間も引き続き36℃:目標体温維持困難例では上昇も許容
渡邊 和貴・稲田 崇志 練馬光が丘病院 救急総合診療科 集中治療部門
〔発作定義を満たしていない脳波異常に抗発作薬を投与するvs. しない〕
7. Pro:投与する:背景活動に注目して治療を考慮する
鈴木 秀鷹 武蔵野赤十字病院 救命救急センター
8.Con:投与しない:明確な治療の有効性が示されていない以上,明らかな副作用を重視するべきである
岡崎 哲ロバート 亀田総合病院 集中治療科
〔advanced 脳機能モニタリング〕
【コラム】国際10−20法:神経集中治療に携わる医師必修の技術
渡辺 真那斗 武蔵野赤十字病院 救命救急センター
鈴木 秀鷹
【コラム】電極数が限られた脳波計:ポイントを押さえた施行で臨床に有用な情報を
佐久間 絢 聖マリアンナ医科大学 救急医学
藤本 佳久
【コラム】aEEG(amplitude-integrated electroencephalogram):モニタリング時におけるポイント
杉山 和宏
【コラム】BIS(bispectral index):心停止蘇生後の予後や脳障害の判定には補助的な利用を
小畑 友里江 淀川キリスト教病院 麻酔科
細川 康二 福井大学医学部 麻酔・蘇生学
【コラム】SedLine:脳波をもっと活用するために
渡邉 真麻 公立西知多総合病院 麻酔科・集中治療センター
矢田部 智昭 公立西知多総合病院 救急診療センター
【コラム】NIRS(near infrared spectroscopy):その有用性は脳波モニタリングのトリガーにあり
下山 京一郎 TMGあさか医療センター 神経集中治療部,Neuro ICU and Coma Science Center
〔特殊なモニタリングで読み解く脳機能〕
【コラム】脳マイクロダイアリシス:基本と測定できる物質を知っておこう
黒田 泰弘・河北 賢哉 香川大学医学部 救急災害医学講座/附属病院 救命救急センター
9.治療方針を支える予後予測:予測因子と評価のタイミングを押さえる
柏浦 正広 自治医科大学附属さいたま医療センター 救急科
【コラム】移植:ポテンシャルドナーの同定から家族への説明まで
山本 亮 神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科・集中治療
瀬尾 龍太郎 神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター
10.PCAS患者家族とのコミュニケーション:患者にとって最善のゴールを話し合うために
三好 祐輔 神戸市立医療センター中央市民病院 緩和ケア内科
【コラム】思い出に残る症例:体に刻まれたDNAR
熊城 伶己・武居 哲洋 横浜市立みなと赤十字病院 救命救急センター
【インタビュー】エンゼルケアのあり方
Interviewee
上野山 栄作 オレンジライフ 代表取締役社長/全日本葬祭業協同組合連合会 教育研修委員長
相楽 雄治郎 さがら 専務取締役/全日本葬祭業協同組合連合会 教育研修委員(福島協組)
濱野 貴史 帝都典禮 取締役/全日本葬祭業協同組合連合会 教育研修委員(東京協組)
佐藤 憲明 さとう葬祭 代表取締役/全日本葬祭業協同組合連合会 教育研修委員(福岡協組)
松本 勇輝 全日本葬祭業協同組合連合会 専務理事
Interviewer
藤本 佳久
井上 明彦
11.基礎研究によって進化するPCAS診療:心停止後脳障害に対する新規治療戦略
錦見 満暁 広島大学大学院 救急集中治療医学
12.FLIGHT:PCASの未来
井上 明彦
連載
■え?知らないの?バスキュラーアクセスカテーテルの使い方
〈シリーズ構成:上岡 晃一 東京医科大学病院 臨床工学部〉
此内 緑・峰松 佑輔 大阪大学医学部附属病院 臨床工学部
■集中治療に関する最新厳選20論文
田邊 翔太 松江赤十字病院 救急部
吉田 英樹 聖マリアンナ医科大学 救急医学
2024-11-29
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
627ページ,左段「ICUにおけるゴールは大きく3つ」の段落
(誤)
患者の数だけゴールは存在するが,ICUにおけるケアのゴールは大きく3つにわけることができる。
ICUに入室してすぐや,PCAS患者で神経学的予後が悪いとは言えない場合,
①生存期間を伸ばすため全力で救命治療を続ける(治療を諦めたくない,しかし,苦痛のある治療を受け続けたくないといった場合)
②いま行っている治療は続けるが苦痛が増えるようなことは行わない〔病状が非常に悪く救命困難な場合や,救命はできても機能的予後が悪く,本人の望む生活の質(QOL)を達成できないような場合〕
③苦痛緩和を最優先とし,苦痛緩和につながらないものは終了も検討する
の3つである。
(正)
患者の数だけゴールは存在するが,ICUにおけるケアのゴールは大きく3つにわけることができる。
①生存期間を伸ばすため全力で救命治療を続ける(ICUに入室してすぐや,PCAS患者で神経学的予後が悪いとは言えない場合)
②いま行っている治療は続けるが苦痛が増えるようなことは行わない(治療を諦めたくない,しかし,苦痛のある治療を受け続けたくないといった場合)
③苦痛緩和を最優先とし,苦痛緩和につながらないものは終了も検討する〔病状が非常に悪く救命困難な場合や,救命はできても機能的予後が悪く,本人の望む生活の質(QOL)を達成できないような場合〕
の3つである。