2025年4月上旬発売予定!
2週間でエコー走査の基本をマスターできる
多数のエコー解剖セミナーを実施してきた“がっくん”が丁寧に教える初学者のための指南書。初学者が陥りやすい失敗とその克服法を、67本の充実した付属動画をみながら自分の前腕をフルに使って学べる。ハンズオンセミナーの予習に最適。麻酔科医、整形外科医や理学療法士などエコー装置を診療に用いる医療従事者必携。
Day0
本書で学習するみなさんへ
Day1
触ってみなくちゃわからない:エコーの準備とプローブの持ち方
Day2
前腕世界一周:短軸像について学ぶ
Day3
エコー解剖の奥義:プローブを速く動かす
Day4
プローブを速く細かく動かす:前腕世界一周 Complete Edition♪
Day5
広い視野を確保する:エコーの深度
Day6
構造物同士の関係性
Day7
筋内腱を狙え!:構造物を見失わないためのテクニック
Day8
LAT. 43°Nの恋:構造物を2点で捉える
Day9
体表解剖を利用する:あなたとわたしの甘い関係
Day10
テキトーに動かすだけ:起始と停止から読み解く動作
Day11
短軸から長軸へ:ローテーションについて学ぶ
Day12
プローブのさまざまな走査法:チルト,ロッキング,コンプレッション
Day13
患者さんにプローブを当てる
Day14
穿刺のお作法
おわりに 幸せについて
索 引
コラム
ドプラーモードについて
コンベックスプローブについて知ろう
Apple Siliconとポケットエコーと熱暴走
筋肉は筋内腱で分断される!? エコーが教えてくれたこと
腕神経叢だってコンパートメント 上神経幹ブロックについて
ランドマーク法は野蛮か? エコーへの過信が合併症を引き起こす
空想テラス
下手こそものの上手なれ
「忘れられないキス」to kiss? or kissing?
言葉で言わなきゃ伝わらない? 言葉にならないこの気持ち
研究>臨床>教育? 教育者としての矜持
感性と理性 演劇における考察/医学における考察
幸せになるための時間の使い方 〜タイパを捨ててYouTuberになろう〜
ごあいさつ
僕が本書を執筆することになったのは,2022年1月,森本 康裕 先生にいただいたメッセージがきっかけです。
「せっかく(エコー解剖の)動画を(YouTubeで)アップされているので,例えば雑誌のLiSAで動画と文章で神経解剖について解説して頂くという企画はどうかと考えました」(原文ママ,括弧内は著者補足)
当時,僕は森本先生とは面識がありませんでしたが,先生のご高名は存じ上げていたので,突然のお誘いにとてもうれしかったのを覚えています。
当初,森本先生と共有していたイメージは麻酔科医を中心読者とする月刊誌『LiSA』への連載で,末梢神経ブロックのためのエコー解剖を解説するというものでした。その後,LiSA編集長の江田幸子さんの希望により,麻酔科医だけではなく,広くエコーを使った診療に従事するみなさんにとってわかりやすい入門書を作るという企画に変わりました。初めて江田さんと打合せをした時に,タイトルは『がっくんといっしょ エコー解剖のひろば』にしようと言われ,僕は飲みかけのコーヒーを思わず落としそうになりました。森本先生のようなご高名な方が「もっくんといっしょ」と言うのはかっこいいですが,麻酔科領域で何の地位も実績もない僕が「がっくんといっしょ」だなんて,炎上するのは火を見るよりも明らかです。すぐに森本先生に相談しましたが,「がっくん,いいのではないですか。頑張ってください」というお返事をいただきました。
そんなこんなで始まったLiSAの連載ですが,当の本人はいたって楽しく執筆させていただきました。これがもし連載じゃなかったら,たぶんDay 3くらいで終了してたでしょう(笑)。数年前にとある高名な先生に紹介していただいた単行本が,僕の遅筆のせいで自然消滅したという痛ましい過去がある僕にとって(事実です),毎月の締め切りというのはいい意味で尻に火がつくので続けられたのです。1年2か月のマラソンをリタイアすることなく走り抜き,こうして書籍としてみなさんの元に届けることができたのは,ひとえに森本 康裕 先生と江田 幸子 編集長のお力添えのおかげです。この場を借りて心よりお礼申し上げます。
本書は,すべての運動器エコーを学ぶ医療従事者のために書きました。Day 1からDay 14で構成されていますので,毎日1章ずつ勉強すれば,2週間でエコーマスターになれます。単なるハウツー本にならないように,本書にはいろいろな仕掛けをほどこしています。エコー解剖を習得するために必要な知識と技術が,形を変えて毎回現れるので,順を追って読み進めるだけで知識の層が重なっていき,自然とエコー解剖がうまくなります。また,本書掲載の動画は,文章と100%リンクしているので,併用することで,より学習効率が上がります。初学者の方はまず動画を見てから本文を読むと良いでしょう。どうして今までエコー解剖に躓いてきたのか,その答えがわかります。エキスパートの先生は動画を見る前にまず本文でじっくり勉強してください。意外と意識していなかった基本に気づき,より一層エコー解剖が上手になります。
本書は,掲載動画をYouTubeとvimeoで公開するという医学書初の試みを行っています。みなさんは,本書を持って歩かなくても,QRコードを読み込まなくても,YouTubeで検索するだけですべての動画を見ることができます。もちろん本書を持ち歩いていただいてもいいし,置いて出ても構いません。電車の中でも,お風呂の中でも,ご自身のスタイルで,繰り返し動画をご覧ください。
それでは,がっくんといっしょに,エコー解剖のひろばに飛び込んでいきましょう!
2025年2月
石田 岳