3つの難易度レベルに分けて
多岐にわたる骨軟部画像診断のエッセンスを実戦形式で解説!
「脳」「頭頸部」「肝胆膵」「胸部」に続くシリーズ第5弾!これで主要テーマが出揃う。はじめに現症を示したあと症例画像を提示して、所見を解説し、診断(疾患名)を明らかにするという実戦形式のテキスト。シリーズ最多となる155疾患を3段階の難易レベルに分け、各レベル内は診断名を類推できないようアトランダムに配置。後半では、当該疾患の解説に続いて、鑑別診断についても十分に補足。Q&A形式の設問も中に織り込み、専門医試験にも役立つよう配慮。放射線科のみならず、整形外科の研修医・専門医の実力アップに最適。
腫瘍・腫瘍類似疾患(骨19,関節 3,軟部 27)
血液・骨髄疾患(3)
骨折(8)
関節外傷・障害(肩関節6,肘関節4,手・手関節4,股関節 6,膝関節 4,足関節・足5)
軟部外傷・損傷(3)
代謝・内分泌疾患(2)
沈着症(3)
薬剤性疾患・他(4)
正常変異・正常過程(5)
先天性疾患(骨系統疾患 4,代謝・内分泌疾患3)
感染症,炎症性疾患(骨 3,関節 3,軟部 2)
虚血(4)
その他の骨病変(骨端症 2,母斑症2,骨増殖性疾患 1)
〈脊椎・脊髄〉
感染症,炎症性疾患(3)
腫瘍・腫瘍類似疾患(原発性脊椎腫瘍 3,腫瘍類似疾患 1)
外傷(頸骨骨折・脱臼 5,胸椎・腰椎骨折 3)
脊椎変性疾患(7
その他の脊髄病変(3) (カッコ内の数字は疾患数;18の疾患カテゴリー,合計155疾患)
本書は「即戦力が身につく画像診断」シリーズの第5弾として,骨軟部領域の画像診断に関して実臨床に直結する一冊となるよう企画された.これまでの本シリーズのコンセプトを継承し,18の疾患カテゴリーに分類された155疾患について解説している.すなわち,この155疾患について,年齢や病歴などの臨床像,画像所見,最終診断と経過を述べ,続いてQ&A形式の問題,画像診断のポイント,各疾患の解説,鑑別診断を記載して,最後にQ&Aの解答を示すことで各疾患の重要事項を効果的に整理できる形式でまとめている.また,読者の習熟度に応じて学習することができるように,症例を難易度によって「入門編(専門医試験を想定したレベル)」,「実力編(診断専門医試験を想定したレベル)」,「挑戦編(診断専門医の実力を伸ばすレベル)」に分類し,幅広いレベルの方が活用しやすい形式で収載している.
骨軟部領域は各関節/部位に共通する疾患もあるが,それぞれの関節/部位独自の疾患も多い.また,骨軟部腫瘍の種類は数多く,その他のカテゴリーに入る疾患もまれなものまで含むと無数に存在する.155疾患はこれまでのシリーズでも最多の収載疾患数となるが,できる限りコンパクトな内容になるように,企画当初に候補となった多くの疾患を最大限絞り込み,ミニマムな疾患を残した結果である.まだまだ骨軟部領域には知っておきたい多数の疾患が存在するが,実戦形式の本書を上手く活用することで,骨軟部画像診断のエッセンスは十分理解していただけると考えている.専門医資格の取得を目指すレジデントや骨軟部領域を専門としない読者が効率よく学習するには打ってつけの一冊になったと思う.骨軟部画像診断医を目指す方には,そのステップアップに繋がれば幸甚である.
骨軟部領域の画像診断は単純X線検査で始まることが多いが,骨軟部組織のコントラスト分解能に優れるMRIが画像診断の中心的役割を果たすようになり,特に画像診断医にはMRIによる質的診断や広がり診断が求められることが多くなってきている.このような背景から,実臨床における外傷や骨腫瘍などは単純X線写真のみで診断できる場合も多いものの,本書では画像診断医が関わることの多いMRI画像が最も多く掲載されている.一方で,骨軟部領域の画像診断ではファーストステップとなる単純X線所見についてもできるだけ取り上げて解説しているので,専門医資格の取得を目指すレジデントの読者には,骨軟部画像診断に必要不可欠な総合的知識を身につけていただきたい.
最後に,日常業務でご繁忙中にもかかわらず,本書の企画主旨に応えてご執筆いただいた全国の骨軟部放射線診断医の皆様と,2年前の企画時から手厚くサポートしていただいたメディカル・サイエンス・インターナショナルの正路氏に心より感謝いたします.
2025年3月
編 者