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徹底分析シリーズ
小児区域麻酔のコツ
この号では「小児区域麻酔のコツ」と題して,日本で主に小児麻酔を専従としている方々より貴重な原稿を書いていただいた。簡単で安全な手技,方法からちょっと手を出しかねる難しそうな手技,方法まで掲載されることになった。この「徹底分析」の根底に流れる考えは,術中術後に及ぶ手術を受ける患児への「やさしさ」である。こどもに対する鎮痛が脚光を浴び,日本国津々浦々の麻酔科医が各種の鎮痛方法を施行してくださるのは心よりうれしいことである。
しかし,すべての麻酔科医にこれらの手技ができるようにと考えてこの号を企画したのではない。これらのなかから自分にできる手技を選び施行していただきたい。小児への中枢ブロックの経験の長い私も脊髄くも膜下ブロックや硬膜外ブロックも施行している最中は真剣そのもので,時に額に汗しながら緊張下に行っている。なぜそんなに区域麻酔にこだわるのかと不思議に思われるかもしれないが,鎮痛の質が高いこと,そして私にとって区域麻酔の達成感と術後こどもの痛みがない笑顔をみることにやみつきになっているのかもしれない。
小児の術後鎮痛にはこのほかにいくらでも手段がある。この号に掲載された区域麻酔には手を出せないから,といって小児への術後鎮痛に対する気持ちと意欲をあきらめるのだけはやめていただきたい。
静岡県立こども病院 麻酔科 堀本 洋