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症例検討
区域麻酔で困ったとき-2
区域麻酔は,単純そうに見えても奥が深い。予定通りに区域麻酔が成功し,患者の満足度が高ければ,麻酔科医もまた満足できる。しかし,この患者では,脊髄くも膜下麻酔が,硬膜外麻酔が,あるいは腕神経叢ブロックが最適と思い,インフォームドコンセントを得て,いざ区域麻酔をしたところ,うまくいかなかったことはないだろうか。当初は順調にいっていても,術式の変更や手術時間の延長などにより,麻酔法の変更を迫られる場合もある。いったん開始した区域麻酔が順調に行かなかったとき,区域麻酔へのこだわりを捨てて全身麻酔に移行することを躊躇してしまうこともある。手をこまねいているうちに,泥沼にはまってしまう羽目になる。こういったトラブルが起きたときこそ,別の安全な麻酔法へ移行するための迅速な決断が必要となる。
今回は区域麻酔がうまくいかなかった場合の対処法について検討する。
稲田 英一