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症例検討
麻酔歴に問題がある患者のインフォームドコンセントと麻酔 3
インフォームドコンセントは,急性期医療を担う麻酔科医にとって,一つ間違うと患者に大きな誤解や不信感を抱かせることになり,麻酔管理そのものと同様に重要な周術期管理の一つである。それは,患者自身の麻酔歴に問題がある場合,さらに注意が必要となる。患者が以前の麻酔に関して何かネガティブな印象をもっている場合,それは最も困難なものとなる。時間をかけて十分な説明をすることに加え,患者の信頼を得ることが重要である。
今回はこのシリーズの 3 回目となるが,症例として①神経麻痺,②周術期高熱,③覚醒遅延,そして④誤嚥を取り上げた。今回も,架空ではあるが実にありそうな症例に対して,それぞれの方々にその原因や解釈,患者への説明と麻酔管理について概説していただいた。どれも,麻酔科医を続けていると必ず遭遇する周術期合併症・偶発症であるが,遭遇しないですめばこれに越したことはない事象である。
私自身の教訓としては,事前の十分な説明と同意はもちろん重要であるが,合併症や偶発症が起きてしまった際の迅速で適切な対処と対応(説明)が重要であると,つくづく考える次第である。
札幌医科大学医学部 麻酔科学講座
山蔭 道明